hyla’s blog

はてなふっかーつ!

嵐の後

 いつも行く海岸へ、台風の後の様子を見に行った。台風の後の海の色は、強く緑色を帯びている。プランクトンが一気に増えているのだろう。

 
 海岸では、入り口の道の所まで漂着物が来ているし、砂が分厚くなっていて車のタイヤがめり込んで怖かった。そういえば、今回の台風は大潮の時に来て、高潮についても警報が出てたっけ。
 その影響は、海岸の植物に現れていて、山の下のハマヒルガオとアマエンドウの群落も、海水をかぶって根が露出してしまっている。そんな植物の周りには、コガネムシ類の幼虫がたくさん干からびて死んでいた。

 波打ち際にある漂着物は、川から流れ込んできたものらしく、大量のアオウキクサが混ざっている。奥の方では海藻類が山の際まで分厚く堆積していて、こちらは海からの漂着物。いずれにせよ、今回の台風では一時的に海岸全体が海水に覆われたのだろう。

 
 海岸をゆっくり歩きながら、そんな漂着物を覗いて行った。するとこんなものがあった。こちらは、明らかに川から流れ込んできたもの。クサガメさんだね。強い流れに海まで流されてきたしまったのだろう。子供のころから、いつも台風が来ると、気になったのは川にいる生き物たちのこと。鳥は飛んで逃げるだろう。魚はたくさんの植物の陰で耐えるだろう。けれど、カエルやカメはどうなるんだろうと思っていたけど、こうなるんだ。けれど、だからと言ってクサガメが絶滅したりしてないから、台風が来てもどこかに隠れて生き延びた個体が命をつないでいくのだろう。

 
 それから、流木をめくっていくと、シロアリのいる朽木もあったし、こんな小さな貝のくっついている木もあった。この小さな巻貝は、よく見ると何とも愉快な顔をしている。でも、これも海の貝とは思えない。たぶん陸貝の仲間だろう。シロアリはともかく、こうして流されてきた陸の生きものの大半は死んでいくのだろう。

 
 一方で、新しくできた綺麗な砂の上を歩いていたのがこれ。これは、ヒョウタンゴミムシの幼虫だろうか?こうした海岸の甲虫類も海水をかぶったはずだけど、無事だった模様。どうやって生き延びたのだろう。砂の中に潜ってだろうか?それとも、山の中に一時的に逃げていたのだろうか? 

 
 ゴミの中からは、こんなゴミムシも採れた。何だか砂浜というより、河口で見るものに似てる。特に左の黒いゴミムシは、なんか見たことのあるよなあ?と思って気が付いた。これは、キバナガミズギワゴミムシではないか。ということは、これはすぐわきの川から流され来たのだろう。ここの河口にもキバナガミズギワはいるんだね。

 
 晴れて強い日差しの照り付ける砂の上では、こんなものいた。ヨツボシホソアリモドキとケアリモドキで良いのかな?これらを見ると、夏が来たという気がする。

 
 そして最後に、ちょっとだけ砂を掘ってみた。いつもに比べると、採れるものはとても少ない。波打ち際にあれほどたくさんいたハマハネカクシもほとんど採れない。きっと潮間帯に生息するハネカクシの多くが波で海へ流されたのだろう。そしてあるものは海の生きものの餌になり、あるものは再びどこかに打ち上げられて、生息域を広げていくかもしれない。そしてこの浜辺でも、生き残ったものがまた、増えていくはずだ。
 実際、これほど攪乱された後でも、2mmほどの小さなイソハネカクシと、こんなハネカクシが採れた。この黒っぽいものは、比較的新鮮な海藻類を掘るとちょくちょく見るものだ。大きさが違るけれどよく似ているから、同じグループなんだろう。それに、茶色のものはウシオハネカクシ?これも、春先に見て、その後見なかったものだね。また、出現する時期に来ているのだろう。
 


 ということで、台風で激変した海岸の環境だけど、台風は毎年来るものだ。8月の調査では、どれだけ落ち着いてくるか、ちょっと興味深いね。