マジで掘ったなら
さて、今日は海岸の生きものを調べたい。先日から一気に暑くなって、もう完全に初夏だ。こうなると、生きものの種類もまた、変わっているはずだ。まずは、いつも行くこの海岸で掘ってみることにした。
連休だから人が多いのでは?と恐れていたけれど、意外にも誰もいない。気兼ねなく、黙々と砂を掘っていく。
するとだ、もうね「何ということでしょう。」とか言いたくなったよ。だってこれだもの。
ハマハネカクシの集団!もう、勘弁して〜。これは小さいし、すぐに反り返って、形を整えるのが面倒なんだよね。だのに、これだけではないのだ。ペラペラハネカクシもウミセミゾも…。何だかもう、後のことを考えると、頭がく〜らくら。たぶん絶対、今が一年で一番生きものの種類が多い時期だよね。
そして、見ていると浜辺では見事なくらいに、種類によって棲み分けができている。もちろん肉眼識別するのが難しいものも多いのだけど、わかる範囲だけでも、棲み分けはある。
波打ち際ぎりぎりの水が滴るような砂をすくえば、そこにはペラペラハネカクシがわんさかいる。今がペラペラの最盛期らしくて、ペラペラハネカクシをこれほど大量に見たのは初めだ。その少し上には、小型のナギサハネカクシ類。
波が運んで盛り上がった大きめの砂利の中には、イソハネカクシ。小さめの砂の中にはハマハネカクシ。
その上の、大きな波でなければ届かない潮間帯上部から飛沫帯にかけてのたくさん海藻が埋まったあたりにはは、ウミセミゾやアバタハネカクシ、それにウミベトガリハネカクシやコケシハネカクシなど。
他の海岸では、これほど綺麗に棲み分けは見られない。堤防があって、幅10mがやっとの浜辺では、何もかもが一所に集まってしまう。ここは、海から山までおおよそ20mほどの幅があり、波によって大きさが綺麗に分かれた砂利が分厚く堆積している。そんな純粋な自然の海岸だからこそ、明確に棲み分けが見られるのだと思う。ここで、波打ち際からの距離をきちんと測って、場所別に採集してまとめれば、大学生の卒論くらいにはなりそうだ。まあ、それを調べることの意義を問われると弱いけど。
ということで、今日採れたものたちの一部を紹介。
まずは、Thinobius。下のペラペラハネカクシは、今回猛烈に採れたけれど、上の小さな方は意外と採れなかった。これは、他のものに比べると、それほどたくさんいる種類でもないようだ。それなのに、これはあまりに小さくて、ともすればピンセットで壊してしまう。難しいものだ。
それから、これはたぶんハマハネカクシ類。大きさ的に小さい方は、チョウセンハマハネカクシかな?とりあえず2種いることは確か。
こちらの黄色いものは、ナギサハネカクシ類。下のものはよくわからないけど、とにかく今の時期たくさんこれもいる。てか、このサイズは正直勘弁してほしいところ。
こちらは真っ黒シリーズ。大きなものは、たぶんツヤケシヒゲブトハネカクシとかその辺のもの。下の小さなものは、漂着したブイの下の砂にいたもの。腐った貝の猛烈な匂いのするところにいた。これはヒメハネカクシとかその辺かな〜?わからん…。
下のこれも、さっぱりわからないハネカクシだけど、この時期になって急に増えた気がする。でも、これもよ〜く見てると、2種いる?この2つは色合いや微妙なシルエットが違うような気がするのだけど…。
この他にも、ウミベトガリハネカクシとか、アバタハネカクシ類もたくさん出始めて、もう何が何やら。きっと、この浜辺にいる海岸性の昆虫の種類は、おそらくハネカクシ類だけでも20種類くらいは軽くいきそうだ。
純自然海岸の多様性恐るべし!