hyla’s blog

はてなふっかーつ!

夏は朝

 ここのところ、連日35℃を超える猛暑日で、日中は太陽の下に出るのも嫌になる。こんな時期でも、海岸へ出てしまえば海からの風はそれなりに涼しいのはわかっているけど、あの強い日差しはやはり怖い。ということで、太陽の上る前に海岸へ行ってみた。

 
 海岸は、この暑い時期でも、波打ち際は海水で湿っている。今の時期の、この辺の海水温は27℃程度だから、太陽に熱せられた砂が素足で歩けないほど熱くなっていても、波打ち際はたぶん30℃にならない。これがもっと大きな礫の浜だと、隙間からどんどん水分が逃げてしまって内部までひどく乾燥する。細かな砂だと湿り気は保持できるけれど、間隙が狭すぎるから、そこに生息できるのは小さな原生生物が主になる。ここの浜辺は、細かい所では2mm〜4mm、大きな所では6〜8mm程度の砂利が多い。この絶妙な砂利の大きさが、湿り気を保持し、温度を保つと同時に、砂利の中に生きる生物に適度な間隙を作っているのだろう。荒い砂利の海岸は、細かな砂の砂浜とはまた異なる生物を育む、貴重な生態系だと思う。


 そんな海岸を掘っていくと、バットの中にはこんなものが落ちてくる。これはたぶんハマハネカクシ。台風と高潮でずいぶん海岸生態系は攪乱されただろうけど、やはりちゃんと生き残ったものがいて、再び数を増してきているようだ。  

 
 

 早朝とはいえ、掘っているとやはりすぐに汗まみれ。朝の涼しい時間でもなければ、この暑い時期に海岸に来る気にはなれない。更に太陽が昇ると、一気に温度が上がり始めたので、切り上げて帰ってきた。


 今日採って帰ったのは、こんなものたち。
 
 これは、ハマハネカクシの仲間だろう。少し色の薄いものも結構いたので、この暑い時期にも、成虫が出てくるのだろう。写真の中では大きいものが一番たくさんいるけれど、中に少し小さなものが混ざっている。小さなものはさらによく見ると、2種類だよねえ。ならば、今回も、ハマハネカクシは3種類いるということ。でも、先日採った3種類のハマハネカクシとは全く同じではないような気もするなあ。

 
 それから、これはたぶんウミベトガリハネカクシ。ウミベトガリハネカクシを砂の中で見ると、鞘羽のオレンジ色がきらきら光って、びっくりするほど綺麗だったりする。この鞘羽のオレンジ色は、生き残りや繁殖の上で、どんなメリットがあるのだろう。テネラルと思われる色の薄いものは、全体が金色に見えて、さらに鮮やかできれいに見えた。個人的には、割とこれは好き。


 こちらは、たぶんイソハネカクシの仲間。この2つは、やはり異なるものだよね。ここで見るイソハネカクシは、この2種のほか、もっと小さな2mmほどのものなどもいて、たぶん3種類以上いる。こういう海岸は、イソハネカクシ類の生息に適しているのだろう。
 それに、ウミセミハネカクシ類やヒメハネカクシ的なものが、いくつか採れた。7月に比べれば少なかったけれど、それでも結構復活しているようだ。



 ただし、またこんなものを見てしまった。



 先日の台風の高潮で、山際の植物は根が露出してかなり枯れこんでしまったのだけど、また新しい芽がどんどん伸びて緑が復活してきている。その中に、くっきりと車の走った跡があって、そこだけは植物が生えていない。車の轍は、追いかけていくと、海岸の半分ほどのところまで入り込んでいる。台風の時に、車の轍は完全に消えていたので、その後また車が入り込んでいるということだ。

 
 これほど良い環境の海岸に、どうして車を乗り入れるんだ。
 やはり、何か手だてを考えたほうが良いかな…。