hyla’s blog

はてなふっかーつ!

驚く日


 近くの海へ行くと、潮がよく引いていたので、礫海岸まで行くことにした。砂利の海岸なら潮と関係なく掘ることができるけど、礫浜は干潮で無ければ掘れない。

 
 ところが、その海岸へ近づくにつれ、何やら普段とは違う雰囲気が…。付近にはたくさんの車があって、駐車場だけでなく、路上駐車しているものもある。ナンバーを見ると、香川は元より、四国全県、更には神戸や大阪ナンバーも見えた。
 
 そして、海岸へ出てもっとびっくり。何、この人の多さ!


 
 
 大潮でよく潮が引いて、いつもよりずっと遠くまで潮が引いて海底が現れているけれど、その一面に人がいる。掘っている人はどう見ても20人ではきかないだろう。更に地面をよく見ると、いま人が掘っていないところもどう見ても掘り返した跡があって、掘られていないところは無いくらだ。ここは小さな干潟なのだ。恐らく連休になってからは、入れ替わり立ち替わり毎日たくさんの人が潮干狩りにきたのだと思う。でも、きっとあまり採れなかったはずだ。なぜなら、一月前の大潮でもたくさんの人が来ていたからだ。


 あまりの事に、礫を掘る気には到底なれず、呆然とその光景を眺めた。そこには、ウミミズカメムシに、イソハネカクシに、ツツムネウミハネカクシとかたくさん海岸性の昆虫がいるんだよね。裏返ったまま空気にさらされている石の裏にいた生き物は、無事なんだろうか?

 去年の同時期にも私はここへ来ているけれど、これほどたくさんの人は見なかった。せいぜい、4,5組くらいだろう。それがどうしてこうなったのか?ここは割と良いところだけど、小さな海岸だから、これほどの人がそろって海岸を掘り返すことの影響を考えると、恐ろしくなる。
 

 少し前に、別の河口でハネカクシを採っているとき、「何採んりょんな?(何採っているの?)」と散歩のおばさんに聞かれた。
 毒瓶を見せて、「こういう小さな昆虫です」と答えると、「貝掘っりょるんかと思った。」と言われた。
 話を聞くと、その川の河口ではここ2,3年、潮干狩りをする人が季節になると大挙して押し寄せるのだそうだ。「もう、掘って掘ってほとんどおらんようになってしもて、今年ははもうあんまり来んようになったけどな。」と言っていた。

 
 恐らくその人達が、今度はこの海岸へ押し寄せたのだろう。どこからどうやって情報を得たのかは知らない。けれど、今度はここが、「掘って掘って」されている。こういうのを見ると、人の利用が海岸生物に与える影響は結構大きいのでは、と心配になる。
 河口で話した人によると、特に最近は、退職して時間を持てあましたおじさんが潮干狩りに参入しているのだという。そういう人の堀り方は徹底していて、掘った後は無残に荒れ果てると嘆いていた。それが本当かどうかは知らないけれど、今見る限りは、最近の潮干狩りの人の堀り方がすさまじいというのは確かのようだ。私も調査のために海岸を掘るけれど、これほど広範囲に深く掘り返すのは無理だ。
 

 潮干狩りは楽しい。けれど、その楽しさを求めるたくさんの人に対して、この辺に残された干潟はごくわずかしかないのだ。その小さな干潟に人が集まり、どれほど小さな貝でもとにかく何かが採れるまで延々と掘り続ければ、さすがに大きな影響が出るのでは?と思う。
 まだ調べられていない、多くの生き物の生息場所を奪ってはいないだろうか?
 貝を探しながら、その他の小さく目立たない生き物を引きちぎり、潰し、太陽にさらして干からびさせてはいないのだろうか?

 

 心配しすぎなら良いのだけど、考えるとちょっと怖い。