hyla’s blog

はてなふっかーつ!

イツツモントビコバチ

 土曜日に採って来たもののうち、訳がわからないものを眺め回していた。私は昆虫類の専門家じゃないけれど、それでもいくら何でも目くらいのグループは見当がつく、と思っていたのだ。ところが、これを見た時には一瞬何をみているのか、さっぱりわからなくなった。

 何これ?

 


 そもそも訳のわからないものは、採るんじゃない!という気もする。
 訳がわからないこそ、採らなくちゃいけない!という気もする。


 とにかく、これについては、何か変なのいる。と思った時には採ってしまっていたのだ。花に来ていたのではなく、海岸近くの草むらにいたものだ。網をふるって、毒瓶に入れて反省。一見して訳わからん。なのに採ったら、調べなあかんやん…orz。
 

 持って帰って確認してみて、まあ昆虫であることはさすがに間違いなし。で、次の段階で途方にくれた。ハエ・アブ・ハチ・カゲロウ・ガガンボ…。といった分類群がぐるぐる頭の中をめぐる。何だこれ?脚が妙に長いだけでなく、触角が特に変。まるで、脚が触角のところにそのまま生えてきたのような、妙に長い触角がある。何これ…。


 とりあえず、実体顕微鏡を最大倍率まで拡大してみてよくよくみると、黒いハネが2対あった。最初に見た時には重なってしまっていたのだけど、ピンセットでそっと分離させてみると、確かに2対で4枚。ってことは、膜翅目?ハチでおっけー?
 更に、後翅を見てみると、小さくて部分的に細かな毛になっている。それを見て、寄生蜂かなと思った。



 去年FITをやったときに初めて知って驚いたのが、ごく小さな昆虫のハネはまるで鳥の羽毛のように細かく枝分かれていると言う事実だ。全体でも1mm以下のムクゲキノコムシや一部の寄生蜂類の羽は、本当に鳥の羽毛のようでそれはそれは見事だった。特にホソハネコバチ科と思われるハチのハネを見た時は、ちょっと感動したね。
 これの後翅は、それとよく似ている。だから、多分寄生蜂の仲間だ。なら、名城大学の山岸先生が寄生蜂について解説した文章がwebにあったはずだ。


 で、文章の図を探していって、どうやらこれはトビコバチ。更に、そこから検索をかけ続けて、ようやくこれの名前の見当がついた。



 これは多分、イツツモントビコバチ!黒いハネに白い斑紋が5つついているトビコバチ、ということだろう。
 

 
 トビコバチは、「中肢の脛節(けいせつ)に大きな距棘(きよきよく)があり,これで跳ぶのでトビコバチといわれる。世界に広く分布し,種類数も多く,日本には120種以上分布する。おもにカイガラムシ,キジラミなどに寄生するが,ガの幼虫,テントウムシの幼虫,ヒラタアブなどに寄生」するのだそうだ。
 トビコバチだけで、日本だけで120種もいるなんて、どんだけ多様なんだ。そのうちこれは、多分割と目に立つデザインだから、よく知られているものなんだろうし、きっとそれなりにたくさんいるものなんだろう。




 
 そんな、普通種にあっさり翻弄される自分っ…orz。