ボルボックスとミドリゾウリムシ
近くの池で、ボルボックスをまたたくさん採って来た。数年前に比べても、昨年に比べても数が少ないとはいえ、それなりの数がいる。そこで、ある程度数がいるうちに、また培養にチャレンジしてみた。
一般的なボルボックスの培養は、二層培地を用いるらしい。赤玉土に水を入れてオートクレーブにかけ、ハイポネックスなどを入れて、培養液とする。使う水にも、人によっていろいろこだわりがあって、ある人は「ボルビック」が良いと言うし、「六甲の美味しい水」を勧める人もいる。
で、私自身はこれまで、赤玉土にボルビックでやっていたのだけど、今回は培地を十分に用意する暇がない。そこで、ボルボックスを選りだして、昨年つくって使わずに放置しておいた二層培地と、新しく袋から取り出した赤玉土に精製水とハイポネックスをいれて培地にしたものに入れてみた。それと、最後に何となく思いつきで、培養中のミドリゾウリムシの液を一部とって、これにもボルボックスを少し入れてみた。
先週末の事である。
そして、週明けにわくわくしながら見てみると、新しく赤玉土に水を入れてつくったものは、綺麗にボルボックスが消滅してしまった。やっぱり、適当に作ったものではダメらしい。
次ぎに、昨年作った培地はどうかというと、これもまた、完全ではないもののほとんど消失。1.2個体は見えるけれど、明らかに減っている。
ボルボックスは繊細なのである。培養は、毎年やってるけど、毎年失敗する。
そして、最後にミドリゾウリムシの中に入れたものを見て見ると、入れたまま生き残っている。減ってはいないように見えた。更に、毎日見ていると、明らかに増えている。結構順調な感じ。
どゆこっちゃ?
私の持っているミドリゾウリムシの株は、野外から採集したものである。それも、偶発的に得たものだ。野外の池からプランクトンを採ってきて、しばらく毎日眺めながらビーカーに放置していたら、ある時を境にミドリゾウリムシが爆発的に増えて、それ以外のものは全く見られなくなってしまったのだ。ミドリゾウリムシも面白いかな?と思って、そのまま育て続けている。
そんなやり方で入手したからかもしれないけれど、とにかくこのミドリゾウリムシは強い。そして、何と言っても培養が全く手間なし!体内にクロレラを共生させているので餌の細菌をやる必要もない。暑さ寒さにも強くて、夏は35℃、冬は10℃を下回るような部屋に置いているけれど、一向に平気。ただ、水が減ったら精製水を追加するだけである。それだけで、もう3年以上培養し続けている。
その中で、ボルボックスが増えているというのは、何なのだろう。クロレラを共生させているとはいえ、ゾウリムシがいれば適度にその排泄物がボルボックスの栄養分に良い?でもクロレラ共生もしているから、それなりに栄養分は使われて、適度の状態が保たれているとか…?
実際、培養している容器は、外から見ても常に透明で、一定の状態が保たれているようではある。
で、今日大急ぎで、その液を2つに分けて、更に増えやすいようにしてみた。これからは日中の温度も上がるし、うまくいく保証はない。ボルボックスは急激に減少してしまうかも知れない。けれど、ミドリゾウリムシがいる限り、水の塩類などの条件は一定に保たれそうだ。もしもこのまま混合培養が成功すれば、増えなくても維持するだけもできれば、それはもう超ラッキー!
ボルボックスは気難しいし、物事は期待すると上手く行かなくなるものではあるのだけど、でも神様、どうかお願い。
このまま上手く、ボルボックスが増えていきますように…。