hyla’s blog

はてなふっかーつ!

トビムシの恋


 少し空いた時間に、いつものように窓際においたビーカーの中を見ていた。

 ビーカーの中には、先日近くのため池からプランクトンネットでとってきたいろんなものが入っている。その池では、毎年ボルボックスヒドラが出てくるけれど、今年もちゃんとそれらは発生していて、それを毎日覗いては、増えるのを楽しみにしている。


 で、そうやって覗いていて、ふとこんなものに気づいた。

 多分マルトビムシの一種だろう。水の表面や、腐りかけた水草の上にたくさんいるけれど、紫と黄色の混じったなかなかカラフルなトビムシだ。
 けれど、これはなぜだか2匹が頭をくっつけてじっとしている。たまたま衝突したのか?と思ったけど、いくら見ていても離れない。更に、あまり強い光を当てるとトビムシだからぴょんと飛んで逃げるのだけど、それでも2匹は離れない。おまけに、こうやってくっついているのは1組だけではなく、同じようにしているものが2.3組見えた。

 
 と言う事は、これは意味がある行動なのだ。


 この行動の意味として一番考えられる事は、繁殖行動。どの対も大小のセットでくっついているので、大きな方が雌で、小さな方が雄と考えると、ちょうど話があう。それに、小さな方は、別の小さな個体がよってくると、それに対して追い払うような行動をしていた。それから考えても繁殖行動かな…?



 と言うことで、調べて見た。


 すると、こんなページがヒット。やっぱり配偶行動らしい。

http://zoo2.zool.kyoto-u.ac.jp/ethol/showdetail.php?movieid=momo040414db01a


 で、更に調べていくと、結構このダンスは有名らしく、youtubeにも、綺麗な動画がいくつか上がっていた。
 トビムシがこんなダンスを踊るとは全く知らなかったなあ。それにしても、何て奇妙でカワイイダンスなんだろう。告白のために、ワルツとチャチャチャを踊るトビムシだなんて!


 
 私が見たものも、種は違うようだけど、きっと同じグループ。

 
 ただし、私が見たトビムシの行動はこれとは違っていて、雄が触角を少し曲げて雌の触角と絡め合わせて、ずっと一緒にいる。雌が歩いたり、激しく頭を振ると、雄が完全に持ち上げられている時もあるけれどそれでも離れない。

 
 配偶行動の後は、雄が雌に精包を渡すらしけれど、さすがに水の上だとそれは不都合だろう。だから、とにかく雌と会ったら雌としっかりくっついて雌をキープして、雌が水草などの上に来たとき、チャンスとばかりにな何らかのダンスをして精包を受け渡すかな?なんて考えてみた。
 写真のトビムシは、肉眼で見ても全くわからない小さな小さなトビムシで、多分1mm以下だ。だのに、そんな小さな体で、複雑で精緻な行動をするのは何とも魅力的。
 

 トビムシは、どうも英語ではspringtailというらしい。この語で、検索をかけるとかわいいトビムシの綺麗な動画がたくさんヒットした。BBC制作のものらしいこの動画は、特に綺麗。


 本当に小さな生き物だけど、こうやって見ると綺麗だな〜。
 



 だけど、魅力的なだけに、ずっと見ていたくなるのが困るところ。
 このビーカーのトビムシの一連の配偶行動を、最初から最後まで全部見たい。精包の受け渡しの瞬間を見たい!



 でも、さすがにそこまでの時間の余裕はないのです。
 残念無念。