鳥さん二連発
11時頃、とある若者が部屋に来て言った。
「あの、鳥が死んでます。」
「なぬ。それはどこ!」
と言うことで、連れて行ったもらったところには、この鳥が墜ちていた。
綺麗なシロハラである。がしかし、シロハラという鳥はオリーブ色をしていて、実に地味なのである。その鳥が落ちていた所がコケの生えた地面の上。
「よく見つけたね〜。」と言うと、
「実は3階の部屋にいたら、すごい音がして鳥がぶつかってきたんです。」
というでは無いか。つーことは、衝突は、ついさっきかい。綺麗なのも道理である。拾い上げた鳥は、その言葉通り本当にまだ暖かかった。
そして、今度は午後3時頃。別の若者に
「鳥見ましたか?」と声をかけられた。
「ああ、回収したよ。むこうにあったぶんやろ。」と答えると、
「いや、それじゃないです。」という言う。
「え?あそこにあったぶんではないの?まだ他にもあるの!それはどこ、いつの話?」
と言うことで、またまた案内されて行った先には今度はこれが。
ツグミである。いきなり同じ日に二羽ですか〜!
まあ実際、今年はこの辺のクスノキは豊作なのである。そのクスノキの実を狙ってツグミもヒヨドリもムクドリもわんさか来ては、群れになって絶え間なく飛び交いながら実をついばんでいる。その飛来数は、どう考えてもいつもより多く見えるし、ただでさえツグミの仲間は衝突しやすい。中には衝突死する個体も出るだろう。
と言うことで、夕方業務を終えてから標本化作業を行った。
計測し、タグをつけ、乾燥防止にラップでぐるぐる巻きにしようとして気がついた。シロハラの目の周りについているものがある。実態顕微鏡で見てみれば、これがダニ。目の周りには、小さいながらも血を吸ってまん丸になったダニが羽毛の陰に隠れて山ほどついているのだ。また、よくよく毛をかき分けて見れば、羽の中では(多分)ハジラミが動いている。
更に、羽毛の羽軸に沿って何やら白いものが着いている。白いものは楕円形をしていて、中身が詰まっているものもあるし、中身が無く殻だけになったものの見える。これは何?卵にも見えるし、ひょっとしたら蛹なのか?いずれにせよ、体表寄生虫の何かだろう。シロハラは、藪の中にいて、地面の枯れ葉を嘴でかき分けて土壌生物を食べる。そうした習性を持つからか、とにかくダニ類が着いていることが多い。それでも落下してしばらくたつと、ダニは逃げ出していくのだけど、今回のシロハラは死んですぐだったので、逃げ出す間がなかったのだろう。
二羽を計測して、処理するのは結構時間がかかる。特に今回にみたいに、いろんなものが着いていると、それを観察したり写真に撮ったりするのは結構手間。でも、一方で楽しいんだな〜。
と言うことで、興味のないヒトにはグロ写真でしかないでしょうが、頑張って撮った写真ものっけてみました。この卵のようなものは何でしょう?
ご存じの方がいらっしゃいましたら、教えてくださいまし。