hyla’s blog

はてなふっかーつ!

ヤマシギとシラミバエ

ヤマシギのシラミバエ


 
 朝の8時30分。休みというのに、私は人を送るために車を走らせていた。高速の長距離バス乗り場まで送っていって、で、その帰り道、わざわざ大回りになるのにもと来た道を走った。ずんずん走って、国道間近のところでブツ発見!

 そうなのよ。実は行きしなに車を走らせながら、ふと見ると路上のちょうど真ん中に何かが落ちていたのだ。どう見てもそれは、鳥!ハト大の鳥なんだけど、確認したかったのだけど、でもバスの時間がぎりぎりでもあって車を止められなかったのだ。でも朝の事だ。きっと誰も拾っていないだろうと採りに帰ってみたのだけど、読みはばっちし!早速、路肩に車を止めて、ちょうど手元にあった新聞を手に近づいてみれば、ブツは大物!

 何とまあ、ヤマシギじゃあないですか!


 そういやちょうど2年前の11月15日にもヤマシギがすぐ側で死んでいたっけ。それから、ずうっと以前にも国道でヤマシギを拾ったことがある。ヤマシギって、秋にはよく死ぬんだ。ヤマシギって大きいけど、不器用というか何というか死にやすい鳥なんだと思う。

 
 

 さて、このヤマシギもとより手放す気はない。当然、冷凍保存だ。しかし、ここで問題。実はこの朝は月1回のラインセンサスの日でもあり、その開始時間が迫っていたのだ。

 しょうがない。とりあえず、勤務先まで行って、北向きの寒い場所にある木の下の掃除用具入れの中にこそっと入れた。休みでもあり、時間的にまだ建物は開いていないのだ。でも、車の中では温度が上がる。外にだしていて、カラスや犬猫に持っていかれたらやだ。ここなら温度も低い。休みの日だから、掃除もない。絶対に他人がやってきて開ける心配はない。3時間後のラインセンサスの終了まで、ここで隠しておくのだ

 
 そして、まずはラインセンス。とぼとぼ歩いて、それなりの数を確認して、帰ってきた。


 建物ももう開いている。さりげなく新聞にくるんだヤマシギを手に部屋に入った。そして処理だ。

 

 とりあえず、外部計測をする。体重は280gで翼長は・・・・。



 ってやってたら、ふと気がついた。ヤマシギの腹部に何かが付いている。動いている。ヤマシギの死体の上で動いている。ハエのようだ。ハエのようだけど、でもこれって微妙にハエとも違う。妙に平たいし、動き方が変。クモ的というか何というか・・・・。これって、フツーのハエではない。それによく見ると、何だかしきりにヤマシギの血を吸っているように見える。腹部は既に吸った血で、緑がかった黒っぽい色だ。ちょうどダニのように・・・・。これは外部寄生虫


 ということは、ということは、これってこれって、あの噂のシラミバエという奴ではないですか!





 おおっとお〜。私、この仕事じゃなくって、鳥の死体集めにかけては、結構な年数やってまして、これま200以上の鳥を集めて来たんだけど、シラミバエは始めてだ〜!


 
 シラミバエだよ〜。シラミバエ!すごいよ。こんなもの実物見たのは初めてだ。


 
 これは逃がすものか!飛ばないうちに、と慌てて写を撮り、早速サンプル管を探して捕獲成功。そして、そのまま手元にあったエタノールをどぼどぼ入れて固定した。


そして、ヤマシギの全ての処理を終えて、冷凍庫に放り込み、またサンプル管を眺めてみる。
 



 ほおお〜。シラミバエって、ほんと変な奴だ〜。こんなものもいるんだな〜。
 人生初のシラミバエにお目にかかってあたしは嬉しい。とっても嬉しい。感動だ。


 けど、悲しいのは、こう言うことを言っても同意してくれる人が誰もいないこと。もしも、「シラミバエがいたんだよ〜」なんて嬉しそうに言ったら、また変態の汚名を着せられるだけ。そこんとこが悲しい(T_T)。



 つか、シラミバエはとっても嬉しい。でも、これを私が持っていることは、どっちかってえと、宝の持ち腐れというかなんというか・・・・。



 こういう野生動物の寄生生物の研究をしている人も、探せばきっといるに違いないのだ。そして、そういう人からみれば、こういうサンプルは1つでも2つでも、とっても大事で貴重なものではなかろうか。既知のシラミバエであったとしても、その宿主のリストがより正確に成っていくことは望ましいことだ。私なんぞがただ持っているより、そういう人の所で標本として有効活用されると、私もとっても嬉しい。



 でもなあ、ここで問題。実は私、意外と小心者でして、いきなり存じ上げない方にメールというのは、非常に腰がひけるというか何というか・・・。1匹だけだしねえ。




 ということで、どっかにヤマシギのシラミバエを標本に欲しい研究者の方っていらっしゃいますかしら。
 連絡頂けたら、差し上げますが・・・・・。