hyla’s blog

はてなふっかーつ!

逃避


 しなけりゃいけない事がある時に限って、他の事をしたくなる。
で、今日も逃避に走って、ぼーっと本を読んでいた。

 で、先日から部屋に転がっていた、この本を読んだ。

 


 まあ、新書だし書き手も書き手で、読みやすい。内容はというと、タイトルそのまま。

 「バブルというものに酔った行動は、経済的分析だけで分析しきれいない、一種の陶酔で、それを一度味わった人たちは、どうしてもそれを再度味わいたくなるけど、それをしらない世代が台頭しつつあって、彼らはとっても堅実系で、彼らと共に新しい世界を構築するためにも、新たなる価値観を創造しましょう」ってところ?



 高度経済成長の延長線上にバブルはあるっていうのは、まあそうかもしれない。けど、バブルを知らない世代が堅実なアリさん人生を求めているかといわれたら、それもどうか、と思う。日頃はこつこつと働いてお金を貯めて、でもある時一斉にバカみたいにそれを使い果たすみたいな、陶酔が大好きなのは、日本人の特質だろう。「えじゃないか」ではないけど、日頃はぐっと歯を食いしばって目標に向けて努力して、それがかなうとバカみたいにはしゃぐ体質は、そうそう消えるものではないような気がする。

 バブルを知らない世代は確かに今は、堅実に見えるかもしれないけど、はしゃぎだしたらそれこそ手がつけられなくなるんじゃないか。それに堅実というけど、それは現在の要求が何も努力しなくてもそこそこ満たされているからこそ、特に大きな夢を持たないという種類の堅実さではないのかと思う。学生でも、ワンルームマンションに住めてしまうし、欲しいものもそれなりに手に入るんだから。

 
 人間ってのは、手に入らないものをこそ、より強く欲しがるものではないか。飢えに苦しめばこそ、お腹いっぱいに食べることは非常な陶酔になるだろうし、欲しくても手に入らなかったものは、20年たってもまだ消費を誘発する強さを持っている。大人買いなんて、その最たるものだろう。

 で、そういう「欲しい」って欲望を満たすべく努力する過程は、つらいけどでもこれが結構楽しいのだ。「欲しいな〜、欲しいよなあ。」と思いながら、いろんな購買ルートを考えて、最安値を考えて、収入を考えて、収納を考えて、買うことの理屈を考えて・・。
そう言うものは楽しい。あたしでも、不必要とわかってはいても、それでもデジタル一眼買っちゃおうかしら、とか、結城の着物というものも欲しいよなあ、とか、ばかげたもの、不必要なものとわかっていても、そういう事を考える方が楽しい。考えられる時の方が、おおむねまともな生活をしている。


 まあ、あたしはバブルを謳歌させてもらった世代の一員でもあるから、「消費は美徳」がどっかにしみついているのかもしれない。けど、こういうのって本能的なところもあるから、バブルを知らない世代でも、必要以上であっても、もの(情報、あるいはサービスも含めて)を欲する事は、なくなることはないと思うのだけど。


 
 団塊の世代の造り出した世の中は、その肝心の世代が現役を立ち去りつつある中新たな価値観を創出するべきで、時代に依存しない価値観や思想を持つべき、というけど、時代に依存しないものなど、あるはずがないと私は思うな。
 そして何となく新しい若者のつくり出す価値観って「自分さえ良ければ」的ものになりそうで怖い。社会の矛盾とか、歴史とか、不合理とか、財政赤字とか、少子化のもたらす暗い未来とか、そう言うものって個人がどう努力してもどうなるものでもないから、考えません、聞きません、無視無視〜!聞かず、見ないなら、問題はないも同じ、そういう対応をとる人間が増えそうな・・・。民主主義とかが、それぞれの個人が責任持って考えた事をまとめて力にしていくものだと考えると、見ざる聞かざる人間の増加は民主主義の崩壊かしらん?



 と、まとまりもなくこういう事をだらだらと考える事で、現在の仕事から逃避をはかっている私も立派な無責任人間・・・・。