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「web社会をどう生きるか」


  これまた借りっぱなしだったので、返却するべく頑張って読む。

ウェブ社会をどう生きるか (岩波新書)

ウェブ社会をどう生きるか (岩波新書)

 

 2007年の本だから、既に話はやや古くなっていて、今はグーグルやななんかの検索エンジンはすっかり定着し、今やfacebookTwitterの時代に入っている。

 
 本では、検索エンジンは便利だけど、それに頼り過ぎて思考力や想像力が萎えたり、情報の大衆的同調作用が起きる危険性を指摘している。「web礼賛論は善意、平等、民主主義を主張するが、それには年齢、能力差別があり、格差拡大にもつながる」と書かれた危険性は、実際にそうで、明らかに世の中の意見は付和雷同的になっている。検索に頼る人がいる一方で、それを使いこなして自ら意見を述べる若者もいる。webを使いこなせるかどうかで、格差は大きく広がり始めているのは確かだろう。

 
 本は、「情報」とはそもそも何なのか?と問いを投げかけ、情報とは、生物が生き残る為に必要なものだとする。だから、単なる「機械情報」ではなく、生物としての感覚も含めた「生命情報」こそが、人にとっての「情報」の本質だと語る。


 コンピュータの情報処理は、もはや人のそれを遙かに超えた膨大な量を瞬時に行える時代だし、単なる知識ならコンピュータにかなわない。じゃあ、私たちは何を身につければいいのか?本のタイトルは「web社会をどう生きるか」なのだけど、著者はそれを具体的には示さない。わずかに、知識を注入するようなこれまでのスタイルの教育ではなく、日本の古典的芸能が行っている「しみこみ型教育」によって、模倣し自ら考えさせる事が重要と語る。


 知識を植え付けるのではなく、見せて、やらせて説明しないこと。答えの無い問いを投げかけ、考えさせ、なおその答えを与えずに宙ぶらりんの状態におくことで、更に深く考えさせるという教育スタイルは、確かにこれからは重視されるスタイルだとは思う。

 
 けれど、とりあえず既に大人になっちゃった人達は、これからこのweb社会を生き抜くためにどうすりゃいいんだろうかね、と考える。その答えを明確には示さないというのは、web社会の危険性を理解した上で、自分で考えろということなんだろうか。

 
 でも、この本を買って読む人は、今のweb社会に危機感を持っているからこそ、その対応策についてヒントが欲しくて、こんな本を買ったと思うんだけどね〜。