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少年の観察と実験文庫

少年の観察と実験文庫


 年末に勤務先の書庫に潜り込んで、いろいろと眺めていた。で、目についたのがこれ。「少年の観察と実験文庫 ねずみの話」である。もう、変色した色や紙質の悪さからも判るとおり、これは1951年11月15日に岩崎書店から発行された本である。タイトルからして「少年の観察と実験文庫」ですよ。すごいよ。このシリーズ!

 
1951年って昭和26年?戦争が終わって、ようやく落ち着きつつある頃?で、「これからは平和の時代だあ〜!」って、「生物学は平和の学問だあ〜!」って、そんな風に生物学者達が一生懸命に頑張り出したころではなかろうか。科学が光り輝いていた時代。そんな時代に、科学、それも生物学を広めるべくこの文庫が出版されたんでしょうね。

 
 後書きには出版社である岩崎書店のメッセージがある。
 
 「私たちのこどもの理科学習について、今までのように先生から教わったことを、只おぼえているということでいいのでしょうか。こどもは常に学習した知識を自分の力に応じて、十分に観察し、のばすようにならなければいけません。(中略)・・・この文庫をこどもたちが自分で自然を観察するために、必要な本当の手引きとなることを目的として、身近な日常生活で経験する実際の問題をとらえて、できるだけ具体的に実験と観察する力を、はぐくむように編集しました。・・・・(後略)」

 
 うん、頑張ってるよね。夢をもっているよね。子供に夢を持っている。
 
 
 そして、著者もまた一流の人をそろえている。「ねずみの本」は著者が岡田要で、この人は日本動物学会の会長にもなっているし、日本動物図鑑も書いている人だ。シリーズの他の作者も、それぞれの分野で名を成した学者ばかりで、何かいいよねえ。当時の学者の心意気が忍ばれますわ。

 
 で、この本は最後のページにちょっとおもしろいものがある。そう、懸賞のページ。
問題に答えると、正解者の中から30名にこの文庫の中の一冊をプレゼントしてくれるらしい。昭和27年1月31日が締め切りとなっているその問題はというと、

 
 
 「1日1キロの米があったら、ネズミが何匹飼えますか。」というもの。

 
 もし、我が家に残っている8円の郵便はがきにこたえを書いて投函したなら、昭和27年の岩崎書店の編集部に届いたりしないだろうか?と、そんなジャック・フィニイの小説のようなことを考えてしまいましたがな。


 

 こういう古い本、好きです。