hyla’s blog

はてなふっかーつ!

初釜(はつがま)

 
 本日は、お茶の初釜だった。

 日本の伝統文化の芸事は、おおむね年末のしまい稽古と、年始の稽古始めを大切にするが、お茶でもそうで、初めての稽古の日は初釜といって、正午茶事を行う。年末の納会でも茶事をやっているし、それと何が違うんや?というと、フォーマル感が違う。

 納会というのは、習っているお弟子の一年の総決算。お点前もいろんなものも弟子がやる。初釜というのは、先生がやってお弟子に見本を示す。更に年始であるから、道具もそれなりの道具、そう普段お茶会で使うような道具が出るし、正月しか使わない重ね茶碗というのも使う。地の厚い、紅白の大振りのお茶碗で、内部は金銀の箔が塗られている。もう、これぞお正月といった雰囲気になる。

 
 じゃあ、さぞかし大切な道具の扱いに気をつかっただろう、というと、実は初釜で最も気を遣ったのは、何を着ていくか、だったりする。

 いやまあ、当然初釜だから着物である。着物の数がないから悩んでしまう、訳はない。ありすぎて悩む事はっても、なくて悩むことなんかぜーーーーったいない。が、それでも悩むのだ。というのは、お茶だから柔らか物なんだけど、無地も小紋も江戸小紋も付下げも持ってるのだけど、


 
 先生の着物より高そうな着物は着れない!


 
 お茶会で、特に若い子が嫁入りに用に誂えてもらった風な、むちゃたっかそうな訪問着とか着ている分にはそれはいいの。でもね、若い子というにはちと厳しい現状において、妙な知恵がついているだけに悩む!

 おまけにうちの先生は「私はお茶なんかをする身分ではなかった。」と口にされるぐらいで、好きというそれだけで、ひたすら頑張って来られた方である。お茶の先生は、道具を持たねば稽古もできないし、お茶会も開けない。道具は1つのお茶碗が30万とかするわけで、いろんな事を節約しながら続けてこられた先生は、どこで節約するかというと、着る物だね。すると、わたしゃ何着たらいいんでしょ?! 色無地が無難だけど、20代のは派手になりすぎているんだよ〜!


 どうするどうする?

 
 で、ついに決めたのは、黒地のお召しの小紋。そう、いかにも昔風であるが、そこがポイント!

 「母の昔の一張羅を着て参りました。」という口上でどうだ!

 一応、初釜という場に合わせて、帯はずっと使っているお茶会用の金糸の袋帯。古くはあっても大切に保管されてきた風の着物。これで、どうでございましょう。

 
 はい、これで何とかクリアできました。
 


お茶席なんて、着物を着る絶好の機会のように見えるけど、それなりにいろいろ気を遣うものです。



 疲れた〜!