hyla’s blog

はてなふっかーつ!

ハマダンゴムシを探して

 今年は、ハマダンゴムシをちょっと調べているので、暖かくなった今日は周辺の浜辺で生息調査をした。ハマダンゴムシは、砂浜に住む大型のダンゴムシで、文献によれば人のあまり踏み入らない浜辺でないといないとか。


 で、この辺の砂ある浜辺を全部で8カ所ほどチェックしてみたのだけど、いたのはそのうちのたった2カ所だった。一つは、自然海浜保全地区として指定を受けている純自然海岸。もう一カ所も芝生のキャンプ場がくっついているし、昨年外部から運んだ砂を入れてしまっているけれど、背後には魚付き保安林があって、海と山の間に出来た砂浜海岸だ。綺麗な細かな砂のある海岸でも、堤防があるようなところは、見事にいない。本当にハマダンゴムシは、良い環境の所にしかいないことを実感した。


 ハマダンゴムシついでに、海岸の昆虫も探してみたけれど、今年はまだ少し寒いせいか、まだ余り虫はいない。1カ所で、清掃されて隅に山盛りになっていた海藻の中に少しハネカクシヒョウタゴミムシダマシを見たけれど、まだまだシーズンはこれからと言う感じ。今年は昨年に比べて、少し虫の活動は遅いような気がするな〜。



 でもって、今日うろうろして見つけたもので一番嬉しかったのは、これ。

 


 うふ。浜辺のアリジゴクだよ〜。
 非営巣性のアリジゴクだよ〜。

 
 色は白いし、眼が頭から突き出ているような形だから、きっとこれはコカスリウスバカゲロウだろう。
 
 アリジゴクは、定番のすり鉢型の巣を作るアリジゴクでも、見れば嬉しい。子供の頃に、アリジゴクはお寺の縁の下にいると聞いて、わざわざ父親と探しに行った事がある。今でも山道の崖や、河の砂だまりですり鉢型の巣を見つけると嬉しくて中を確認せずにいられない。
 けれど、非営巣性のアリジゴクはどんな所にいるのか、これまであまり知らなかった。それだけに、非営巣性のアリジゴクを見つけると「やった〜」という気分になる。

 
 と言う事で、せっかくなので2匹採集してみた。その海岸はハマダンゴムシもいるくらいで、良い環境が残されているんだろう。アリジゴクもある区画の砂の表面をそっとスコップでならしてみると、あっという間に4,5匹見つかった。ぷくぷくしてとっても元気。結構大きいし、左は終齢幼虫だろうか。それとやや小さな少し赤みを帯びた個体もとれて(右)、これはまだ脱皮して大きくなる途中かも知れないなと思った。
 


 
 でも、アリジゴクのいる海岸も、この辺の海岸はかなり行ったと思うけれど、まだ2カ所目。と言う事は、コカスリウスバカゲロウのいる海岸も、結構限られている?

 
 
 ハマダンゴムシや、同じく海岸性の等脚目のニホンタマワラジムシ。あるいはこんなアリジゴクやヒョウタンゴミムシなど。こうやって調べて見ると、海岸の動物たちはどれもかなりシビアな状況にあるような気がする。
 この辺の海岸も、ダムが出来たり台風が減ったことで河が砂を運ばなくなったし、海砂採取なんかも影響してか、どんどん海岸が痩せてきてしまった。だから台風などで大きな波が来ると、昔はそんな事はなかったのに、今は堤防まで波が押し寄せてしまうこともある。そんな時に狭い海岸だと、砂に住む生き物は一気に海にさらわれてしまっているだろう。
 それから、いくつかの海岸では、保全目的で大規模な改修や、よそから運ばれた砂が入れられたりして、そこに住む生き物は大きく変わったに違いない。
 
 40年前の海岸と今の海岸と、見かけは変わっていないところでも、環境は大きく変わっているんじゃないか。多様な小さな生き物の住まない海岸というのは、寂しいとかだけじゃなく、やはりいろんな問題をはらんでいるような気がするんだけど…。



 ちょっとだけ真面目に調べて見て、海岸の生き物たちの現状がなんだか心配になった。里山より、ひょっとしてもっと危機的だったりして。



 単なる心配しすぎ、だったらいいな。