大脱走

　マルクが帰ってこない。

　さっき、裏口の戸が半開きになっていたらしく、気がついたときにはマルクは夜の中に走り出してしまったところ。いい加減年寄りの犬だから、眼も鼻もきかないのに、いったいどこまで行ったのやら。さっき散歩をした際にも、もう少しで田んぼにどちくれそうになったくらいなのに、これで帰ってこれなくなってしまったら、飼い主はとても悲しい。

　しょうがないので、チーズを持って迎えにいこう。

　空にはくっきりと冬の星座がきらめいて、寒いこと寒いこと。

　とほほ・・・。