hyla’s blog

はてなふっかーつ!

最近気になる漫画


 あたしは普通の本も読むけど、漫画もそれなりに読む。何たって少女漫画黄金期をリアルタイムを経験した人間だから、筋金入りだ。誰かの本で、「少女漫画で全てを学んだ」みたいな本があったけど、その通り。当然そういう人間は、大人になったからといって、すっきり離れられるわけもない。現在連載されているもののある程度はおさえているのだけど、そういう中で最近少々引っかかってきた作品がある。


 講談社のレディース誌のBE・LOVE に連載中の「アイシテル〜海容〜」という作品。小学生5年生が小学1年生を殺害するという事件が起こったときの、その被害者の家族と加害者の家族の揺れを描いている作品。とくれば、神戸の事件がまずは頭に浮かぶ。けれど、単にあの事件をそのまま描いたというのではなく、オリジナルの作品。

   http://www.be-love.net/

 
 物語では何より関係者達の心の揺れが描かれる。家族だから理解しているはずという思いこみ、そして安心感にあぐらをかいて、互いがすれ違っていくその悲しさを淡々と描いている感じが割と良い。被害者の両親の視点だけでなく加害者の両親の視点、そして当事者の視点。そして、互いの誤解とすれ違いが、なぜかある時点で悲しいくらいにかみあわさって悲劇が起きていく。事件がなぜ起きたのかをそれぞれが追求する中で、自身の思いこみや誤解、最も身近であるはずの家族に対してどうしてもっと真摯に向き合わなかったのか、という後悔。そしてその中で生まれる、「誰も同じ思いを抱えているのでは」という共感。


 現在、事件の概要、なぜ事件が起こったかが明らかになったところだけど、今後どのような方向性の進んでいくのか、興味深い。
 物語には弁護士なんかもアドバイスを入れているようで、よくできている作品だと思う。




 作者は「伊藤実」とある。絵柄的にはややきれいすぎるものの、手慣れた感じのプロっぽい絵なんだけど、あまり見ない絵柄で名前も知らない。で、調べてみたら、そのまた昔「おがみの松五郎」という漫画をマガジンに連載していた少年漫画出身の人らしい。少女漫画でも十分通用する絵なので、今後も頑張って欲しいものだ。




 女性誌もピンキリで、中には「完全にポルノだよな、これは。」というような作品もあるけれど、一方で文学といってもいいものや、社会問題をうまく取り上げているもの、そして女性の生き方といったものの方向性をそれぞれに示そうとしているものもあると思う。

 

 と言うことで、堂々と「BE・LOVE」誌を店頭で読む事でできる向きは、読んで見てください。さすがに女性誌を手に取る勇気のない方は、単行本になってからamazonで買っているのがよろしいかと・・・・。