hyla’s blog

はてなふっかーつ!

大阪出張にて買ったもの

 毎度アホーだな、と思うのだが、やっぱり今回も大阪に出張して、で買ってしまったのは本!それも2冊。重いし、かさばるし・・。でも、新聞広告で見かけて何となく読みたいと思ってたりしたもんだし、ついつい目の前にあると、欲しくなるのだ。

 

ハイドゥナン (上) (ハヤカワSFシリーズ・コレクション)

ハイドゥナン (上) (ハヤカワSFシリーズ・コレクション)

   
ハイドゥナン (下) (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

ハイドゥナン (下) (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

 


 で、出張先のホテルで、帰りバスでずっと読んで、2日で読み終える事に成功。でも、うーむ・・・。これってやっぱり買うまでではなかったような・・・・。
 
 小松左京日本沈没〈上〉 (光文社文庫)をベースにして、星野之宣ヤマタイカ 1 (潮漫画文庫)、あるいはヤマトの火 (MF文庫)と、ますむらひろしの「アタゴオル物語」を足すとこんな感じ?


 もともと「日本沈没」を凄く意識して書いている、いわば「日本沈没」本歌とり的作品だし、著者も出版社も小松左京の「日本沈没」と比べられることは判ってるだろう。で、当然読んだ人は「日本沈没」と比べるわけだけど、そうすると、やっぱり弱い。こう、ホントにこんな事も起こりうるのではないか、と読み手に思わせるようなリアリティーが弱いのだ。「日本沈没」が流行った頃には、本の影響で伊豆の辺りの地価が下落したと聞く。そんな、圧倒的なリアリティーが感じられない。これだけのページ数の話を一気に読ませる力は凄いだろう。話自体はよくまとまっている。神とは何か、まで話をふくらませて、それでも破綻しないのは凄いだろう。
 

 でも、こう「日本沈没」だったら、ワンシーンしかでない、市井の人々が、物語に厚みを出していくのだ。いかにも70年代的な登場人物達の、抑制された悲しさの表現が良いのだよね。
 例えば食糧が不足する中で、子供のために夫から送られた指輪をと引き替えにインスタントラーメンを買う妻。それを知り、戦争を経て、せっかく安楽な暮らしができると思ったのに、また苦難の日々か!と思い、けれど頑張るんだ。と決心する男。そんな、心惹かれるたくさんの人間達がいて、美しい日本がのたうちながら海の中に沈み、だから忘れられない物語になる。「日本沈没」なんて、これまでに20回以上は読んだだろうなあ。浪速節なんですけどね。

 
 この作品はというと、そうした膨らみがないのと、何ともあっさりと人間が動くのだ。そう、もっと悩めよ!と言いたくなるくらいに、あっさりと・・。だから、リアリティーがない。おどろおどろした作品でも、クールなものでも、こうぐっと来る人間というのはある。私としては、そういうのが、少々不足だと思う。

 
 でもこんだけ大がかりな話を書けるということは、それはそれで才能だとおもうし、多分出版社から見ても「期待の書き手」だろう。これからも頑張って欲しいな、と思う。(好き勝手書いてます。)