「スペーススローブ」
- 作者: 機本伸司
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/06/10
- メディア: 文庫
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昨日買った本の二冊目。最近の日本のSF系はあんまり読んでいないのだけど、とりあえず「小松左京賞受賞」を著者ということで買ってみた。小松左京さんが認めた才能ならきっと…と思ったのだけど、正直読み終えて微妙。
基本的には、ファーストコンタクトもので、その地球外知的生命が、生命であるのかそうでないのかさえもわからない、そんな謎に挑むお話なのだけど、壮大なテーマの割にはとても身近な人々が活動しているような親近感がある。その点をどのように評価するかによって、評価は大きく分かれるだろう。
彗星探査に向かった探査機が謎のメッセージと共に消息を絶ち、その謎を明らかにするべく有人月着陸計画のパイロット達が本来の月へではなく彗星軌道上の謎の物体の探査を行うべく裏ミッションを企てて…。
と言う話で、カラオケボックスで計画を立てるシーンが続いて、後半で実行していく。だけど、その中で主人公の思い込みが何だかうっとうしい。理系女子は、もうちょっとクールで無いと。てか、君は理系か?と言いたくなる。本来、そういう思い込みだけが強くて、協調性の低い人間は、宇宙飛行士として最も嫌われないかな〜。宇宙飛行士の適性として、狭い空間で長期間密接な人間関係に上手くやっていく能力って、最も重要なものじゃなかったけか?
だのに、そういうぶっとなんだ性格で、それでもフォローしてもらえて、そのくせ一番大事な本番でほとんど勘でもって無謀に近い行動に出たりというあたりだめでしょ。その勘は馬鹿にできない幸運指数の高さを示しているなんて、納得できない。そういうキャラをパイロットの三人のうちの女性に振り、それをめんどくさいと思いつつそのフォローを行う同僚と良い感じに終わるのも何だかありがちなストーリー展開。読後感は悪くないけれど、それだけにそういう所が目について、肝心のファーストコンタクトの方が何だか中途半端な感じが否めなかった。
そもそも、ニュートリノの信号でコミュニケーションをとるような相手に手話で話しかけって発想からしてなあ…。
スターダンス (ハヤカワ文庫SF)ですか?ってつっこみたい。
表紙は今時だけど、その中では清潔感のある絵でそれはそれで許す。
けど、これなら、太陽の簒奪者 (ハヤカワJA)の方ができはいいなあ…。