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深海のYrr

 これを読んだ。(面倒だからリンクは上だけ)
 

深海のYrr 〈上〉  (ハヤカワ文庫 NV シ 25-1)

深海のYrr 〈上〉 (ハヤカワ文庫 NV シ 25-1)

 だいぶん以前に本屋で見かけて買っていた本だ。全3巻で1冊800円だから、2400円。ちょっと痛いが、3巻もあればそれなりに時間は費やせるだろうし、その間没頭できるならしょうがないと思った。本には太い銀色の帯が掛かっていて、3巻を並べて読めば「ドイツで「ダヴィンチコード」からベストセラー第一位の座を奪った驚異の小説ついに日本上陸」と読めるようになっている。つまりは3巻セットで買ってねと。

 でも、このあおりの文句で微妙に引っかかってはいたのだ。


 「ダヴィンチコード」と言えば、あのめくるめく展開の末に「何これ?」な終わりをしたあの小説。この本はあの仲間?でも瀬名秀明によると「恐るべき化学ディデールと驚異の大スペクタクル」らしい・・・。


 で、買って読んでみて、言い切れます。これは「ダヴィンチ・コード」の仲間です。あれが面白い人には面白い。けど、これはSFを得意として早川書房なのにハヤカワSFではなくNVに入れるのも無理はない。これは、SFではない。

 描写は上手いし、それなりに一気に読める訳です。でもって、地球の海のあちこちでこれまでに聞いた試しのないような異変が連続して起こるわけです。主人公の一人であるノルウェー人科学者シグル・ヨハンセンもなかなか渋くっていいし、他の人物もそれなりに魅力的に描かれてます。

 で、これからどうなるの?このいきなり深海に異常発生したゴカイによってメタンハイドレードを溶かして、大津波を発生させて地球上の全てがとんでもない大危機って大風呂敷を広げて、でどう畳むの?って期待をさせて・・・・これ?





 何というか、さっぱり訳わかんね。深海に潜む巨大な単細胞生物って、それ何さ。何故にそれがかくも凶暴化したわけ?しかも、それが、人を仲間として認識するようにコミュニケーション物質を注入した死体を送り込むだけで全て解決?
 あと、非常にうっとうしいのがカナダに住む海生ほ乳類の研究者であるアナワクが、先住民としての自分のアイデンティティを取り戻して行くくだり。何か、それって重要?余分として思えないなあ。全体にそういう余分な話が多い感じが否めない。それによって話に深みがでるのではなく、ややこしくしている気がする。その辺をすっぱりと切り落した方が、本筋が判りやすくなるだろうと思う。


 それと、それぞれに魅力的な人物はいるものの、特に主要な人物がどこかステレオタイプな気がしてしょうがないのだ。こう、「インディペンス・デイ」とか「デイ・アフター・トゥモロー」とか、そういう話題作ではあるんだけど2級なパニック映画を見ている感じ。







 
 と言うことで、本代は早川書房に対するお布施だったんだと思って、本の行き先を考えたいと思います。