hyla’s blog

はてなふっかーつ!

「おとしぶみ」を探して…


 お菓子は、和菓子だと思う。洋菓子も悪くはないのだけど、季節感ある繊細なつくりは、やはり和菓子の独壇場という気がする。


 そういう和菓子の中で、キングオブ和菓子とも言えるのが、「ねりきり」。上用まんじゅうや、求肥ももちろん良いのだけど、「練り切り」の美しさと味わいは格別だね。しかも、季節感のある、細かな細工は芸術的。食べるのがもったいないほど美しく作られているそれを、楊枝でそっと切って口に入れると、ほろほろと崩れていく。
 

 良いですねえ。日本人で良かった思う瞬間ですよ。


 で、「練り切り」は季節によって様々な形があるけれど、この時期はいえばやはり「落とし文」。巻いた葉の中にあんこが入ってるものだけど、オトシブミの揺籃をみて、それを「落とし文」と名付け、実に優美なお菓子に仕立てるその感性はたまらんものがある。

 先日お茶会に行ったときも、待合で会記(お茶会で出される道具類の一覧を書いたもの)を見て、お菓子に「落とし文」とあるのを見た瞬間、思わず「やった。」と言っちゃったよ。この時期に「落とし文」って、ばっちぐー。(←死語だな)


 そして、出てきたのはこちら。


 「富久ろ屋」という、高松でお茶会があるときにはよく使われるお店のお菓子だけど、本当に綺麗なお菓子だった。葉の表面には白い練り切りで作った露までついてて、正客の「5月はやはり「落とし文」ですね。」という言葉に、大きく頷いてしまった。
 ちなみに掛け物は「杜鵑一声(ほととぎすいっせい)」。私の好みで、なかなか良いチョイスだと思った。



 で、長い長い前振りなんだけど、ここまでは前振りで、お茶会で「落とし文」を見たものだから、何だか家でも食べたくなったのだ。そして、帰りに和菓子屋さんへよってみた。
 一店目。練り切りは3種で、「ツツジ」と「春の山」っぽいのと、「黄身しぐれ」のみ
 二店目。練り切りは「空豆」のみ。
 三店目。練り切りはやはり2種(種類は忘れた)で、「落とし文」はない。
 
 
 なんで、何でないの〜?5月は「落とし文」でしょう。どうしてないのよ〜。
 
 何かここまで翻弄されると、意地でも欲しくなる。


 そして、いっそ老舗の店からお取り寄せってどうかしら、とか思って何となく検索していたのですよ。で、こんなお店を見つけてしまった。

 http://komatuya-h.jp/


 ばかだろ、これは。これって悪のり以外の何者でもないでしょ。高度な職人技の無駄遣い。ある意味日本らしい…。
 でも、こんなもの、お茶会で出したら、蓋を開けた瞬間悲鳴だろうなあ。
 
 
 本物を見て見たいな〜。食べて見たいな〜。季節はちょっと終わってるけど、やっぱり「さくらもち」かな。それとも蜂の子ケーキかな。
 けど、こういう系はさすがに、笑いながら一緒に食べてくれるお友達がいない…。普通の人は引くでしょ。


 ま、ここは「落とし文」で我慢。