訪問者

　職場でひと仕事終えて席に戻ると、待ちかねたように呼ばれた。
「中庭に鳥がいる。」
　というのだ。一緒に中庭に向かうと確かに鳥がいる。これだ。

　おう、可愛いではないですか。口の横がまだ黄色いから、ひな鳥だね。これはヒヨドリのヒナだ。あたりを伺ってみると、藪からは親鳥がこちらを覗いている。今年ここには、ヒヨドリの巣を構えている。そういえば今日は、やたらにヒヨが激しく鳴いていたいたけれど、これが原因だったのだろう。ならば、そのまま放置すれば、親が面倒を見るだろう。そもそも大きさ的にも、巣立ち頃だから放置しても大丈夫。というより、人が近づかないほうがよい。
「親が近づけるように、触らないで無視してやようね〜。」
と、写真だけ撮って、その場を離れた。

　夜、ふと廊下の壁を見ると、たくさんの羽蟻がいる。外に出てみると、窓の外はこんなことになっていた。

　
　もうそこいら中、羽蟻だらけ。これは、ケアリの仲間だろうか？今日は暑かったし、この辺で結婚飛行が行われたのだろう。これほど大量にいても、こうやって夜の灯りに誘引されたりして、うまく繁殖できるのはごくごく一部だろう。実際、至る所で、クモの網にかかっているものを見た。
　生きものの世界は、厳しい。