hyla’s blog

はてなふっかーつ!

河口でアリヅカ

 

 土曜日に海岸で砂利を掘った後、川の河口へも行っていた。引き潮だから、そこでも潮間帯性の生きものが歩いているのでは、と思ったのだけど、あまりいない。もう夏だし、夏の日中は苦手なのか?引き潮の地面で歩くハネカクシ類は、3月から4月だけなのかな?
 
 何だか一気に疲れが出て、そのまま川の脇にある湿地に行った。狭いけど、塩生湿地になっていて、ここではいろんなカニが見られる。


 夏だから、カニが歩いていて、私が近づくとざざっと逃げていく。そんなカニを追いかけ、逃げ込んだ流木をめくって覗いてみると、こんなカニがいる。たぶんアシハラガニかな?ここには、たくさんいるけど、それはきっとこの川の片側が、コンクリート護岸されずに土のままになっているからだろう。近くの川からしみ出てくる淡水と海水が入り混じって湿地を形成し、カニは土手まで続く地面の、好みの所に穴を掘ることができる。

 
 それから、めくった流木には、他にもいろんな生き物がいる。ここでも、ヒトハリザトウムシが集団で隠れていたし、こんなワラジムシもいた。これもやはり、海岸性のものだろうか?大きさは5mmほどで、少なくとも海岸近くでは何度かみているけれど、他では見ない。少し赤いのが印象的だ。

 
 そして、もっと小さいものも、何か動いているではないか。とりあえず吸虫管で確保。持って帰って実体顕微鏡で見たならば、何とアリヅカムシ。その日はもう、採ったものを処理するだけでいっぱいいっぱいで、今日ようやく細かく観察してみた。
 
 
 まず、これはいつもよく見るアシベアリヅカムシだろう。触角に突起がついている方がオスで、そうじゃない方がメスだと思う。これは、水際の石をめくった時にも見るし、植物質のゴミの中から採ったこともある。

 
 そういうアシベアリヅカに混ざって、今回はこんなアリヅカムシも採れていた。ちょっと大きくて、少し赤みがかっている。2個体は大きさがかなり違っているけど、形はよく似ているのでたぶん同種だろう。

 
 で、これは何だろうか?河口で採れるアリヅカムシは、3種いるらしい。それを「河口の三点セット」と名付けているらしいけれど、その三種とは何?ネット上では見られないし、このことについて掲載されている「月刊むし」など、当然持っているはずもない。
 で、しつこく調べていって、どうやら「河口の三点セット」とは、アシベアリヅカムシ、モモコブアリヅカムシ、ツヤマルムネアリヅカムシであることを突き止めた。では、今回採ったアリヅカムシは、どれか?
 モモコブアリヅカムシというのは、たぶん後脚に膨らみがあるのだろう。これには膨らみといったものはないし、むしろ少し光沢のある赤茶色が印象に残る。なら、ツヤマルムネアリヅカムシではなかろうか?そもそも「河口の三点セット」でない可能性もあるし、名前だけから決めるというのは暴挙と言っても良い。でもまあ、ツヤマルムネである可能性が一番高そうだよね。
 ということで、これは(たぶん)ツヤマルムネアリヅカムシとしておこう!

 
 で、とりあえずツヤマルムネとしたアリヅカムシなのだけど、2個体の大きさの差はなぜだろう。一番考えやすいのは、雌雄の差?けれど、どちらの個体でも、アリヅカムシのオスに見られる触角の突起とか、足の棘とかの、わかりやすい印が見つけられなかった。なので、お尻を見てみた。(←変態ではない)
 お尻は、こんな感じだ。

 明らかに構造が違っていて、右側の大きい方はお尻の穴がより下向きで、周りに丸く模様がある。オスがメスに乗っかって、お尻を曲げて交尾するのには、こちらの形の方が都合が良さそうに見える。ならば、大きい方がオスになのか?でも、普通昆虫ではメスの方が大きいよね?それとも単に、大きめの雄オスと、小さめのメスだったということだろうか?一体、どっちがメスで、どっちがオスなのか。雌雄を採っているのは間違いないだろうと思うのだけど、わからんなあ〜。


 こういう時、やはり気軽に文献を探して読めるところが近くにあると便利だろうと思う。
 田舎って悲しい…。