hyla’s blog

はてなふっかーつ!

良いもの?

 ほどよく曇って、海岸へ行くのに良さそうな天気だったので、今日は真面目に海岸を堀りに行った。連休に行ったときには、あまりの人で近づけなかったここも、そろそろ落ち着いていることだろう。
 実際、良い感じの引き潮だったけど、さすがに今日は人がいない。私の後に、釣り用のゴカイを掘るおじさんが来たけれど、それだけだ。ただし、掘り荒らした後はまだ鮮明に残っている。掘った後は大きなへこみになっていたり、砂の大きさが変わっているので、すぐにわかる。夏の弱い波では、掘った後はなかなか元に戻らないようだ。

 
 海岸へ下りると、こんなフナムシが所々に歩いている。よく見るフナムシの素早い動きとは違っていて、これは動きが割とゆっくりで、大人しい。色合いも真っ黒に近くて、少しずんぐりした形だけど、これはキタフナムシだろうか?
 
 
 
 掘る前に周囲の石をよーく見て、多少は砂利が落ち着いているかな?と思われるところを掘っていった。すると、少しずつ生き物が出てくる。
 砂利の中からは、こんな薄いオレンジ色のワラジムシが出てきた。このワラジムシは、色も鮮やかだし、大きさも7mmほどあって、目立つけれど、他ではあまり見ない。雰囲気からして、ハマワラジムシの仲間だと思うのだけど、いったい何だろう。なんとなく、レアって感じがする。


 それから、ウミミズカメムシもたくさん出てきた。ただし、これは全くいないところもある一方で、いるところでは1回掘ると5.6匹出て来る状態。これには、集合性があるのだろうか。それとも生息しやすい所に集まった結果なのか?とにかく、これは、この時期にも結構いるものらしい。
 でも、このウミミズカメムシも、他の海岸ではまだ採ったことがない。どう考えても、いるところはかなり限られているだろう。


 そして、かなり掘って、ようやくハネカクシ類が出てきた。これも、ここでしか見ないイソハネカクシなので、潮干狩りの掘りすぎでいなくなってないか、心配だった。ただし、今回は2匹しか採れなかった。昨年たくさん採ったのは、4月から5月なので、季節の問題だろうか?特に今年はよく乾燥しているので、その影響があるのかもしれない。
 なんだか白っぽいモノも採れたな、と思ったら、これはどうやらテネラル。でも、これはここで見るイソハネのテネラル?なんだか妙に太めな感じがするけど、テネラルだと少し大きいの?それとも、別種なのか?
 いずれにせよ、イソハネカクシが成虫越冬をするのは確かだし、この辺では3月頃から動いているが見られる。この仲間は春に繁殖して、この時期に幼体から成虫になると考えて良いのだろうか?



 そして、今回の目玉は多分これ。

 これって、ゴミムシだけど、これも水際近くの石の下から掘り出したものだ。如何にもゴミムシって雰囲気だから、陸上のゴミムシを間違えて掘り出したのか?と思ったけど、なんだか違う。キバナガミズギワゴミムシに似ているけど、それより少し小さくて、色合いも茶色っぽい。と、行き詰まっていたら、ツツイキバナガミズギワゴミムシではないか、と教えて頂いた。
 ツツイキバナガミズギワゴミムシは、調べて見れば国のレッドデータ種に指定されているようだ。県レベルでレッド種に指定しているところはわずかだけど、そもそも記録があまりないってことかな?

 
 それから、これも今回初めて採った。

 採れたのはたった1頭だけど、とにかく小さくて、1mmちょっとと極小だ。ヒラズイソアリヅカより、もっと小さいけど、これは何か?ムクゲキノコムシも小さいけど、これはムクゲキノコムシではないと思う。雰囲気だけから考えると、コケムシだよね?でも、潮の引いた砂利の中から採ったものだし、潮間帯性のコケムシなんているの?
 と思って調べてみれば、「本州中部太平洋岸の潮間帯より得られたムナビロコケムシ族の新種Chelonoidum araiorum (コウチュウ目,コケムシ科)」という文献がヒットした。freeだったので、ダウンロードしたところ、英文だよ…orz。
 それでも綺麗な絵があって、それを見る限りかなりよく似ている。多分この、Chelonoidum araiorumか、それに近いもの?まあ、絵合わせだけだけど…。
 英文も何とか読める範囲で見ていくと、これは神奈川県でアリヅカムシ研究者が採った2頭を元に記載されているらしい。ヒラズイソアリヅカムシを狙っていて、採ったのかな?でも、そんな生き物を採ろうとする人でもなければ、これほど小さく地味な生き物を採ることはなかなかないだろう。とすると、あまり報告はないんじゃなかろうか?少なくとも、ネットで調べた範囲では、原記載以外は静岡県くらい?
 ってことは、これもやはりもレアなのか?なら、どっかの博物館がまとめて引き取ってくれたりしないものか…。


 ちなみに今回、何度も来ているこの浜で、始めてのものがいろいろ採れたのには、多分理由がある。実は、これはゴカイ掘りのおじさんが掘ったこんな大穴を利用させてもらったのだ。
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 ゴカイ掘りのおじさん達は、それはそれは深く大きく掘る。しかもその穴を掘り散らかして放置する。それはどうよ、とは思うのだけど、そのおじさんが掘っていた所を更にちょっと掘ると、これらが出てきたんだな。つまり、これまでと、掘る深さも場所も、ちょっと違っていたって訳。ということは、私の掘る採集の技術はまだまだ未熟だったってことだね。
 で、でも…深く掘るのは厳しい!