hyla’s blog

はてなふっかーつ!

冬でもいる


 夕方髪を切りに行くまで、少し時間があった。なので、近所の海岸へ出かけた。もういい加減寒くなってきたから、さすがに生き物もあまり居ないだろうけど、ペラペラハネカクシくらいはいるかな?


 最初に行った河口では、ちょうど中州に下りられた。もうほとんどの植物は、枯れている。けれど、一本だけハマサジが咲いていた。夏に咲く花なのに、季節外れにもほどがある。歩くと、枯れていても、踏みしだかれたフクドからはすっきりした香りが漂ってくる。それに、茶色くなった枝の下には、もう来年に向けて緑の葉が伸び始めている。行ったのはちょうど満ち潮の時間だったようで、時間と共に満ち始めた水が中州に入ってきて、塩生湿地らしい姿を見せてくれた。こういう景色は、どうということもないのだけど、ホント好き。
 小石と細かな泥から成る中州の土は、塩生植物の根に固められていて、その間を縦横無尽にカニがうろついている。大きな穴もあるけれど、今年プランクトンから変態したばかりの小さなカニもたくさんいて、ここは、カニの天国だ。
 
 
 
 地面のゴミの中には、こんなものもいた。種類はわからないけれど、グンバイムシ。たくさんいたから、越冬の為に集まっていたのだろう。グンバイムシは、造形的に綺麗な生き物だと思う。結構好きだけど、私にわかるのは、グンバイムシだというところまで。それと小さな黒いものは、ハチの仲間だろうか?ハネがあったようでもないのだけど…。
 

 
 グンバイムシは、カメムシの仲間だ。調べてみると、徳島県立博物館には、カメムシの先生が居るらしい。先日のウミミズカメムシも含めて、持って行ったら、何か教えてくれるだろうか?
 いやいや、カメムシに手を出すのは、危険か?甲虫類と蜂類だけでも、一杯一杯だもんなあ。というか、そもそも甲虫だけでも、普通はコガネムシが専門、とかゴミムシ屋さん、とかに細分化されているわけで、ド素人なのにあれこれ手を出すのは阿呆だ。それともド素人だから、こんな阿呆な事ができるのか?

 
 私が知りたいのは、特定の分類群ではなく、ここにいる物の事だ。何がどこにいて、どんな暮らしをしているのが知りたい。けれど、そういう地域特化型の興味は、恐ろしくやっかい。特定の分類群ならば、一通り図鑑を持てばある程度わかるし、ある程度見ていって専門家になれば、その分類群のプロとも顔見知りになって、そこから更に情報を得ることができる。
 けれど、幅広い興味だと、持つ図鑑だけでも半端ない金額になるし、置き場も困る。それに、わからない時には、誰に聞きに行けば良いのだ?
 
 私の興味の持ち方は、浜口哲一さんが提唱したところの「トコロジスト」的なものだろう。地域特化型で色々な事を知っているヒトがいることが、重要であるのは間違いない。けれど、それを可能にするためには、やはり専門家の存在が重要だと思う。
 地域の自然史の核となる博物館があって、専門家から「今年はこれや〜。」みたいに、探せば良い物を、その特徴や識別ポイントを教えてもらえるなら、超便利。けれど、博物館がない県はどうすれば良いのだろう。博物館の機能が弱いところほど、「トコロジスト」は必要だろう。でもそもそも博物館がない、学芸員のいない香川みたいなところは、どうすれば良いんだ?

 


 別の海岸でも、砂を掘ってみた。

 すると、波打ち際からは、やはりペラペラハネカクシが大量に出てくる。それに混じって、少し大きめの黒いものも出てくた。これは、イソハネカクシじゃね?こんな気温になっても、まだ居るのか?
 


 家に帰って実体顕微鏡で見てみれば、やはりイソハネカクシ。これも、クロイソハネカクシなのかな?

 
 このイソハネカクシは割とたくさんいたのだけど、確認してみるとちょっと違う物が一つだけ混じっていた。触角の節の形や長さが違うし、口元も違う。それに毛の生え方も違うから、これは多分イソハネカクシではない。では、それは、な・に・か・と・い・わ・れ・た・ら…?

 
 
 ツヤケシヒゲブトハネカクシ?もしくは、その辺の仲間…。


 この仲間も、最近随分細かくいろいろ分けられたようだけど、ツヤケシヒゲブトハネカクシ自体は、Sharp という名前が学名についている所をみると、随分昔から知られている種なのだろう。なら、そんなに珍しいものでもないだろうから、この辺にいても別段不思議はない。

 
 でも、香川での報告はあるのかなあ…。
 
 と思ったら、思いっきりピンポイントであった。