hyla’s blog

はてなふっかーつ!

礫浜

 とある河口の海岸へ行ってきた。それほど大きな川ではなく、河口に干潟はあまりない。以前にも来たことはあるけれど、海藻の下の生き物もとても少なかった浜だ。ただし、丁寧に見たわけでなく、石の下も見ていない。ここも、ひょっとして意外にいろんなものがいるかも…。


 で、まずは波打ち際の石をめくると、そこにはたくさんのコツブムシ。小さなコツブムシが石にびっしりついていて、ほとんど石をめくれば100%コツブムシがいる。大きなコツブムシもいて、手に取るところりとちょっといびつな丸になった。

 
 そして、石の裏にはやはりハネカクシがいる。赤っぽい石の裏のハネカクシは、潮間帯性のもの。やっぱり見落としてたよなあ。
 となれば、掘ろう。掘るしかあるまい。



 と言う事で、掘ってみた。すると、またまたいろんな物が出てくる。波で運ばれた礫が盛り上がった所を崩してみれば、そこには5mmちょっとのワラジムシがわらわらと出てくる。色は先日採った物よりは地味だけど、庭で普通にみるものとは明らかに違う。飛沫帯に特有のワラジムシかな?
 そして、網に入れた礫の間からは、こんなハネカクシが出てきた。真っ黒なハネカクシは、やっぱりヒゲブトハネカクシの仲間なのだろう。砂浜の海藻の下では、黒いハネカクシをよく見るけれど、礫の間でこういうのを見たのは初めてだ。これって、砂浜が無いから、礫の間に潜っていたのだろうか?


 それから、こんなハネカクシもいた。この手合いは、これまでにもいろんな浜で山ほど採ったけれど、見分けはさっぱりつかない。ただ、こういうのは岩礁のものかと思っていたけれど、礫浜にもたくさんいることはわかった。特に、小さな方は、礫の間にけっこうたくさんいて、整理に泣いた。このサイズはもうもう…。



 そして、こんなものもいた。大きなも色も似ているけど、違う種類の小さなハネカクシ。でも、こういう飴色茶色のハネカクシも海岸には多い。多分、波打ち際に近い砂利にいたものだと思うけれど、どうしてこうよく似た色になるんだ。この色の適応的な意味は何なのだろう?


 そんな事を考えながら、写真の上のハネカクシを何気なく見ている時に、頭部にへこみがあるのに気づいた。それをよくよく拡大したのが下の写真。点が二つあるよね。これって、さて何だろう。そして、他の海岸でも、こんなのいたっけ?
 もっと丁寧に見たいのだけど、私の実体顕微鏡では、これが限界。もっと拡大したい〜!もっとよく見たい〜!


 と言う事で、前に来たときにはさっぱり生き物は採れなかったそのまさに同じ海岸で、今回はどっさりいろんなものを採ってしまった。以前、如何に見ていなかったか、ということだね。


 そして、これほどたくさんの生き物がいるということは、礫浜というのは、一部の生物にとっては、とても重要な生活場所ということだ。礫浜の礫は常に湿っているから、適度な湿度があるし、適度な空間がある。更に、常に湿っているなら、真夏の太陽で表面の石が熱くなっても、内部はほどよい温度が保たれているだろう。定期的に押し寄せる波は、海藻などを運んでくるから、それを餌とする事で、生きられる。捕食者もあまり居ない。
 表面だけをみて、礫浜にはあまり生物はいないと思っていたけれど、それは大きな誤解なようだ。良い礫浜には、多様な生物の世界が隠れている。


 それはもう、多様すぎで涙が出るほどに…。
 もうもう、2mmの標本なんて…(T_T)!