hyla’s blog

はてなふっかーつ!

「美少女教授桐島統子の事件研究録」


 こんな本を読んでみた。最近この手の、大人向けライトノベルが流行っているようなので、どんなものかと…。

美少女教授・桐島統子の事件研究録

美少女教授・桐島統子の事件研究録


 で、読みやすい本ではあったけど、何とも微妙な雰囲気。


 タイトルになっている、桐島統子はテロメア研究で2009年のノーベル賞をとったという人物。ただし、ある時いきなり高熱を出して、治ったら何と若返って美少女になっている。ただし、その原因がつかめるまでは迂闊に人と接触してはならないと言う事で、人と接触せずに東京科学大学の地下で秘密裏に研究生活を続けてている。そこへ入学した主人公芝村拓也は、異常に免疫が強い事を買われて、桐島統子教授の下でアシスタントとして働く事になった。
 その頃、大学では吸血鬼が出現するという噂が流れ、実際に芝村の同級生も被害あう。吸血鬼とはいったい何者か、またその目的は?!


 ってな話。


 で、その正体はとある人物が蔓延させようと企んだ新型のウイルスによるJ型肝炎だったのであるが…、全体にご都合主義的だなあ。そもそも大学院生で、新型肝炎を改良してそれをまき散らすって、自分の研究しながら、そんな事できるの?それに普通そんな事してたら、指導教官が気づかない?
 それにスーパーヒロインとは言え、桐島教授はテロメアの研究者だのに、その新型ウイルスの薬をいきなり数週間で探し出すのって、分野違わないか?しかもたった一人で?
 それに主人公の探偵ごっこに、どうして乗っかるのだろう。更に、若返りについても大した科学的根拠がない。この話の中でも、若返りを持ち込む必然性はあまり感じない。なら、もうファンタジーとして、普通の天才美少女科学者って設定でよくないか?

 
 と言う感じに、私はまず基本的な設定の段階で、思い切り引っかかってしまって今ひとつ楽しめなかった。

 
 それに、登場人物達の考え方に今ひとつ共感出来ないもある。理系っぽい雰囲気があんまりないのだよね。例えば野尻抱介なんかの書く理系の若者の世界の方が、よほどそれらしく感じる。



 と言う事で、これがライトノベルの文庫だったら、まずまずと評価するけど、大人向けのハードカバーとしては今ひとつ評価できない。それとも、ハードカバーではあっても、これは若者向けライトノベルとして書かれているのかな?