「すごい宇宙講義」
ちょっと体調が悪かったのもあって、本日は読書三昧。
で、まずはこれを読破。
- 作者: 多田将
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2013/06/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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宇宙論とか、素粒子物理学といったものは、ホントは苦手。でも、教養として、何とか標準的なレベルの知識を突っ込まねばならなくなったので、勉強中。
で、これはそういうものの中では、例えとかがわかりやすくて、今更ながらになるほどと思ったことも多い。
ビッグバンとか、ウラシマ効果とかは言葉としては知っていたけれど、それがどのようして予想され、証明されたのかとかは、知らなかった。宇宙背景放射とか、本当に今も測定器さえあれば誰でも測定できるというのは、何ともロマンチシズムあふれる話だ。ビッグバン後の「宇宙の晴れ上がり」(この言葉も好き)の瞬間の光を、今も見ることが出来るなんて。
更に、宇宙はビッグバンによって生じて以降は、ずっと同じ割合で膨張してきたのかと思っていたら、ビッグバン以前に急速な大膨張(フラストレーション)があったと言うし、更に膨張が今も続くそのわけとして、ダークエネルギーや、ダークマターが存在するとか…、いやはや、知らない事多すぎ。
宇宙が出来てから今までにどうやって物質が生まれ、エネルギーが生まれてきたのか、標準理論などの素粒子物理学の話はまだ今ひとつよくわからない感じだけど、ただこれがSFの話を読んでいるのではない、というそのことにちょっと感動したね。
そして、何よりも私にとっては、そもそも宇宙の果てに何があるのか、宇宙はどうやって成立したのか、なんてある意味ではどうでも良いような事に、どうしようもなくとりつかれて研究をし続ける、ヒトという生き物の好奇心の有りようがとても印象的だった。わからないものを考え続ける、わからないから考え続けるその好奇心こそが、ヒトをヒトたらしめているものだよね。そして、たくさんのヒトが考えて実験し証明され、更に科学の進歩と共に矛盾が発見され、そうやって無数のヒトの思考の果てにたどり着き、多分今後もまた訂正され続けていく「宇宙論」というものは、その有りようが、まさしく科学の営みそのものだ。
ヒッグス粒子が発見されてもされなくても、ダークマターが何であっても、多分日常生活は何ら変わらない。けれど、直接的には何の役にも立たない宇宙の果てを考え続けるヒトが、ちゃんと存在し続けられている事は素敵だ。そして、そういうヒトが居られるのも、こんな本が読めるのも、この社会がまだちゃんと機能しているからだし、その社会はボロボロになりながら働く無数のヒトによって支えられている。
と考えれば、「宇宙論」とは、人類の営みそのものだね。
とは言え、素粒子物理学は難しい〜。その辺をもう少し理解するべく、同じ著書によるもう一冊の「すごい実験」の方も読んでみるか…。