指名

　一つ仕事を終わって席に戻ってきたとき、事務の方にこんなことを言われた。
「さっき近所の方から電話があって、「赤いヘビを見つけたんだけど、○○さんに毒蛇かどうか見て確んかめてもらえませんか」と言う電話があったので、折り返しここへ電話してもらえますか。」

　え、えと…、私にご指名？

　あの〜、私確かに生き物に関連した事をしてはいますが、でも専門家じゃないのよ。特に、は虫類なんてあんまり知らないんだけど、何故にヘビを私に？

　まあ、激しく疑問を感じるところではあったのだけど、一応地域に根ざした開かれた組織を目指している以上、放置するわけにもいかない。まずは、ざっとヘビについて検索をかけて、「赤い蛇」という言葉に該当しそうなものとして、ヤマカガシと、シマヘビ、ジムグリの幼蛇がいる、という事を確認。その特徴を確認して、行動開始。

　そして、連絡をして出かけていった蛇のいる場所は、仕事場のすぐ近くの路上だったのだけど、そこにいたのはこんな蛇だった。

　太さ１ｃｍ、長さ３０ｃｍあまりの小さな小さな蛇。そして、やや赤みがかったベージュに、えんじ色の模様がある。なるほど、確かに赤い蛇だ。
　けれど、それを見た瞬間に問題解決。
　「シマヘビの幼蛇ですね〜。全然無害ですよ〜。ただのシマヘビだから。」
　と、先ほど仕入れたばかりの知識を、さも知っていたかのように披露。
　

　それでも怖がっていらっしゃったので、田んぼにでも放り込もうと捕まえようとしたら、動かない。

　死んでる？よね…。

　多分最近は朝夕の気温が少し温度が下がり始めたので、路上でひなたぼっこでもしていたのでしょう。そして、自転車なんかにひかれたと見た。

　と言う事で、死体を回収し、無事任務終了！

　でも、ほんと、なんで私なんだろう…？