hyla’s blog

はてなふっかーつ!

アリジゴクの正体



 やれやれです。一日中ずっとバザー等々で、ようやく終了したときはへろへろ。


 そして全てが終了して、ほっとしながら昨日のアリジゴクさんをちょっと覗いてみたのですよ。ところが、アリジゴクさんは、土から出てじっとしていて、実体顕微鏡の光にも無反応。ピンセットの先でちょっと持ってみても、動かない。乾燥か、それともいじったときに傷でもつけていたのか、何が原因かはわからないけどお亡くなり。残念!


 で、放置すれば乾燥して干からびるから、すぐに固定することにした。せっかく捕まえた、見たことのないアリジゴクですから、これを捨てるのは絶対にもったない。エタノールをちょっと薄めて、そこへアリジゴクをどぽん。


 すると、表面から泡が立つと同時に、アリジゴクが暴れ始めたではないか!



 っげげげげー。いや今風に言うなら、じぇじぇじぇ〜!
 生きてた。生きてたのに、アルコールに入れちゃった。えええええー、ごめん。でも、ちゃんと生きてるって主張してくれないと、わからないんだよ〜。ごめんよ、ごめんよ…。



 そして…アリジゴクは固定されましたとさ。




 本当に、申し訳無いことをした。けれど、してしまったものはしょうがない。せめてもの供養に、必ずや種を同定いたしましょう。


 

 そこでまずは、文献さがし。以前に、たしかどこかでアリジゴクの詳しい図解を見たことがある。必ずしも使うとは限らないだろうけれど、念のためにとダウンロードしたよな気がするんだよね。
 で、何とか資料を探し出した。「島根県鳥取県西部のアリジゴク」というものだけど、検索図が絵入りなので、私でもこれなら同定できそうだ。そして、標本となってしまったアリジゴクを実体顕微鏡で眺めながら、検索図をたどってみた。


 
 まず、非営巣種であることは間違いない。

 次の選択は眼の形で、眼は「突出してる」でいいよね。

 
 次ぎに「中胸側面の突起」というのはこの部分かな?なら、「短い」で良いような気がする。

 更に、「頭部の下面」はこういう感じなので、「暗色で正中線が白く目立つ」という記述に合うように思う。


 
 で、この判断が正しければ、このアリジゴクの答えは「カスリウスバカゲロウ」というものだ。コカスリでなくて、ただのカスリウスバカゲロウ。
 すごい!種が判明した。ド素人の私でも、同定できちゃいましたよ!この検索表を作ってくれた、林成多さんと言う方にとっても感謝。
 全体写真の雰囲気や、種についての解説の、「やや開けた場所に露出した乾いた赤土の表面付近に生息」という記述もぴったりだから、これは多分カスリウスバカゲロウで間違いないと思う。多分…きっと…。



 と言う事で、今日お亡くなりになったアリジゴクは、目出度く(たぶん)カスリウスバカゲロウであることが判明。




 でも、これをどうしよう。カスリウスバカゲロウであるとすれば、京都や高知ではレッド指定。非営巣種だからあまり調査されていないだけかもしれないけれど、少なくともごく普通種というものではないようだ。もしかして貴重なものなら尚更、標本として利用したいなんて方はいないだろうか。私が持ってても、宝(かどうかはわからないけど)の持ち腐れ。というか、これ以上持っているものを増やしたくない!ただでさえ整理整頓が苦手ですのに…。


 
 
 (多分)カスリウスバカゲロウのアルコール漬け標本を欲しい人なんて、広い世の中にはいる?