ヘビ
日中ふとみると、中庭に大きなトカゲがいた。つるつるした鱗をもつ薄赤い繁殖期のニホントカゲで、余りに見事な個体だから、ついつい「触りたいな…」と思って見ていた。
ちょうどその時、他から呼ばれた。
「すいません。来て下さい。ヘビがおるんです。」って。
呼ばれて行った先には確かにヘビがいたけれど、複雑な模様を持つ40cmほどの小さなアオダイショウの幼蛇で、そして、どうやったのやら真っ二つに切られていた。
もう、何もしてやれない。
ただ、ほっそりとした体をそっとちりとりでとり、人目につかないように大きなソテツの下においた。
1時間ほどして、同じ場所を覗くと、完全に事切れた蛇に、大量のトビイロシワアリが集まっていた。
今日の蛇は、明日のアリになる。
殺すことはなかろ。へび年だよ。