hyla’s blog

はてなふっかーつ!

スナメリその後といろいろ


 さて、昨日発見したスナメリなんだけど、どうするか。選択肢は3つ。
 
 (1)放置する。
 (2)直接日本鯨類研究所に通報して、ブツは自分のものにする。
 (3)ドルフィンセンターに連絡する。

 
 良識ある市民としては、(1)はやっぱりしちゃダメだと思う。データは残さないとダメだ。物欲まみれな人間としては(2)という気持ちもある。でも、その場合自分で浜辺に行って大きな波が来ても流されない所まで運んで、骨がなくならないように網袋に入れて、砂浜に穴を掘って埋めて、適当な時期に掘り出す、という事をしなければならない。今回のスナメリは、腐敗は入っているものの、骨格、特に頭骨は綺麗だから欲しいと言えば欲しい。けれど、砂浜に埋めるだけでも恐らく私一人の力では、一日仕事になるだろう。このクソ忙しい時期に、さすがにそれは無理…だよね。


 と言う事で、やはりここは(3)。ドルフィンセンターに通報してみました。


 すると、ドルフィンセンターのお若い方がすぐ確認に来て下さいまして、今回のはだいぶ時間もたっていて腐敗も入っているとのことで、他の機関が欲しいと言わなければそのままとのこと。
 そのまま埋めるなら、あるいは放置なら、骨になった頃を見計らって、拾いに行きたい…けど、さて今後の展開は如何がな事になるものやら。

 



 で、そんなこんなで、ドルフィンセンターの方を案内して今日も海岸に行っていた訳なんだけど、せっかく来たのにそのまま帰るのは何だかもったいないな、と思ってやはりついでに海岸をうろうろ。

 そして見つけたのが、こんなもの。

 

 潮が引いた砂の上に打ち上げられた海藻。その表面には小さな透明の丸いツブツブがついていて、何かの卵だろう。そして、それに群がる小さなハマダンゴムシ〜!食べてる食べてる。思いっきりお昼なのにね。
 

 このハマダンゴムシの行動については、ずいぶん昔の論文や、最近中学生がやった研究で、成体は夜行性だけれど、幼生は明確な夜行性ではなく、日中も行動する事がわかっている。

 浜に行った時は曇っていて、今にも雨が降りそうだった。強い日差しもなかったから、食い意地の張った成長途上の仔ハマダンゴムシは、美味しい餌の誘惑に勝てなかったんだろう。そして、こうやって日中活動する事があるなら、天敵に対して体色が目立たない事は重要だろうし、するとそれぞれの色の砂浜で、砂と同じような色合いで目立たない個体だけが淘汰されて残ってきたんだろう。
 そんな事を考えながら、夢中になって卵にむしゃぶりついているハマダンゴムシを見ていると、一人嬉しくなった。



 それから、今度は陸に近い乾いた砂の上の流木の裏をチェックしてみた。すると、こんなものを発見。

 種類は知らないけれど、そこそこ大きなムカデさん。実はこのムカデさん、ハサミムシを食べている最中だった。驚いたムカデさんは、自分の体の下に食べかけのハサミムシを隠して逃げて行ったのだけど、その様子がまるで、「あたしのご飯なんだから!あげないからね!(ホントは雌雄はわかりません)」と言ってるようで、妙におかしかった。
 そのムカデの食べていたハサミムシも、この浜には本当に多い。乾いた砂の上に溜まった流木や海藻類をかき分けると、10匹以上の太った大きなハサミムシがわらわら動いている。海岸性のハサミムシももちろん、1種類ではない。だから、本当はハサミムシも標本にしてデータになるようにすれば良いのだろうけれど、甲虫類以上に絶対に種はわからないし、これ以上いろんなものに手を出すのは無理だろうと、諦めた。


 そして、同じく砂の上の流木の裏で発見したこれは、普段よく山で見るものよりずっと小さいけれど、ザトウムシ。 

 海岸にもザトウムシがいるとは知らなかったけれど、調べて見ると海岸にもただ1種だけ、ヒトハリザトウムシというものがいるのだとか。なら、これは多分ヒトハリザトウムシじゃないかな。
 ヒトハリザトウムシについて更に調べていくと、この種は環境庁の準絶滅危惧種に指定されているようだ。こんな生き物に興味を持つ人はほとんどいないだろうから、そもそも分布が調べられていない事は間違いない。けれど、実際これまで見てきた多くの浜で、これを見ることはなかった。だから、ハマダンゴムシがそうであるように、これもまた相当良い状態が残っている浜辺でないと生息できないのだろう。
 そうなると、これが本当にヒトハリザトウムシなのか、また行ってぜひ確認せねば!


 
 そうやって、一人浜辺をうろうろしながら、雨が降り始めるまで遊んでいた。


 
 この浜辺は、よくよく考えて見れば、何時のことだったか忘れるくらいずいぶん小さな子供の頃に、一度だけ海水浴に来たことがあるような気もする。
 そもそも人口自体が減っている中で、この辺では海水浴も廃れ、海岸に来る人も減った。そんな中で、谷筋の放棄された棚田の間の細道を下り、急な崖をロープを伝って下りるようなこの浜辺に来る人は、恐らく延べ人数でも年間100人〜200人程度だろう。その分、近くの自然海岸保全地区に指定されている浜辺より、もっと良い環境がこの浜辺には残っているような気がする。
 実際、今回確認できたものだけでも、(多分)ヒトハリザトウムシに、恐ろしく大量のハマダンゴムシハネカクシも大きなものから小さなものまで大量にいたし、今回は採れなかったけれど、きっと多分ヒョウタンゴミムシだっているはずだ。

 

 何て、素晴らしい浜辺なんだろう。この浜辺が、あまり人に知られることなく、このままの良い状態が維持出来る事を願う。
 
 


 ただ一つ残念なのは、
 「無茶大量のハマダンゴムシにヒトハリザトウムシもいて、スナメリも落ちてたのを見たんだよ〜。」
 とドヤ顔できる相手が誰もいないことです。


 言えば言うほど、ますます変態…orz。