メジロの上の
いつものように、廊下を歩きながら窓の外を眺めてみると、またもや緑の小さなものが見えた。窓の外に出て拾ってみたら、これだった。
とりあえず、いつものようにラベルをつけて標本にしようとして、クチバシの回りが汚れていたので実体顕微鏡でチェックしてみた。
クチバシの回りには、小さな粉が無数についている。これは、多分花の花粉だろう。勤務先の敷地には、サザンカやツバキがちょうどたくさん咲いている。花に訪れ、蜜を吸いながら花を受粉させていたのだろう。
が、よく見ると花粉とは違う、何か白っぽいものが見える。これを更に拡大してみたらこれ。
種類は知らないけれど、ウモウダニ。鳥の羽毛について、そのカスなんかを食べているダニだけど、特にメジロではよく見る印象がある。
更に、ウモウダニを観察していると、こんなものも現れた。
これは、ハジラミ。メジロは、地面を歩くタイプの鳥ではないけれど、小さな体の割りに体表寄生虫が多い。これらは、メジロが群れて活動する中で群れの中に拡散していくのだろう。
こうしたハジラミやウモウダニも丁寧に標本にしていけば、それはそれで貴重なデータになるのだろう。けれど、プレパラートの作り方を知らないし、そもそもそこまでの時間はさすがにない。
でも、マダニの媒介する病気について今盛んに報道されているけれど、そのマダニが鳥の体についてどのように移動しているか、実際のデータはそれほどたくさんないんじゃないだろうか。これにはマダニはついていなかったけれど、ウモウダニやハジラミのデータだって、いつか必要になることがあるかもしれない。だから、こうした鳥を、体表寄生虫も含めてきちんと標本にしておけば、それを利用したいと考える人がいた時に役立ててもらえる可能性がある。
と言う事で、ラップにくるんで冷凍し、ラベルには「メジロ(ウモウダニ ハジラミ)」と書いておいた。
でも、ウモウダニやハジラミが欲しい人なんて、ホントにいるのか…?