hyla’s blog

はてなふっかーつ!

コウモリが来る


 夕方、一人の若者がやってきて、言った。
 「あのコウモリがおったんですけど…。」

 
 そりゃ、私の勤務する建物には、たくさんのアブラコウモリがいる。春になれば、また飛び始めるだろうけど、今は冬だよね。建物の隙間でじっと身を潜めている頃だよね?

 
 「掃除で、コウモリのミイラが出てきた?」と聞くと、
 「動いてます。」と言うではないか。
 聞くと、廊下に並んだロッカーの裏を掃除したなら、出てきたんだそうな。


 とりあえず、言われた場所に行くと、ロッカーの上に置かれたちりとりの中に、小さなこれがいた。

 

 確かに、コウモリ。アブラコウモリだ。そして、確かに生きている。多分、ロッカーの裏で越冬していたんだろうなあ。
 でも、私はこれをどうすれば良いのだ?暖かい時期なら、夜になってから放してやれば、そのまま飛んで行く。でも、この時期餌もなければ、そもそも寒い。仲間が越冬している場所まで飛んで行く事も難しそう。でも放置すれば、死ぬだろうなあ…。


 と言う事で、ふと思い出したのが、数日前にゴミ箱から発掘していたこれ。
 


 古い、保存瓶。高さ20cmほどの小さな保存瓶だけど、薄手でゆがみがあったりして、如何にも手作りらしい良い感じが出ている。恐らくは、大正時代のもので、多分高かっただろう液浸標本を保存する保存瓶の代用として購入したものらしい。アンティークの味わいのある良い瓶だけど、蓋が壊れてるので使えないということで、ゴミ箱に入っていた。でも、やっぱりもったいないよな〜、と思ってもらっておいたのだ。


 机の隅においておいたそれを取り出して、キッチンタオルに包んでそっと入れてみた。

 それから、同じくキッチンタオルで軽く蓋をして、そのまま暖房しない廊下のに並んだ本箱の隅に置いた。
これが適切かどうかはわからない。けれど、ここなら屋外ほど寒く無く、けれど暖房した部屋ほどは寒くない。コウモリが越冬する天井裏や壁の隙間に近いかな、と思う。乾燥を防ぐ為に、適当に霧吹きで水分を補いつつ、春を待って逃がしてやろう。


 その日まで、頑張るんだよ〜。