hyla’s blog

はてなふっかーつ!

ハンミョウの河原

 夕方になる前、FITの虫の回収に行ってきた。山に着くと、空気はいつの間にかひんやりとしてきていて、草むらからはコロコロとエンマコオロギの声がする。夏の間、うるさくつきまとってきたハエやカも数がめっきり減って、一気に秋になったな、と思った。


 山道を歩いて見る生き物も、一気に数が減ってしまって、今日はヘビもカナヘビも見なかった。回収に入った藪で見るキノコも数が減ってしまって、逆に枯れ葉が増えてきている。まだ木についているコナラやクヌギの葉も少しずつ変色しているし、ドングリもいくつか落ち始めていた。



 
 FITの虫を回収した後、少し時間もあったので、山道を少しだけ登ってみた。すると、こんな不可思議なものを見た。


 
 卵のように白くて丸いものが地面から顔を出している。表面は薄くひび割れていて、弾力があって、何やら怪しげな生き物が生まれてきそうな…。一体これは何だ?
 余りに不思議で、割ってみれば、どうやらキノコの幼菌。キツネノロウソクなんかのスッポンタケ科のキノコの幼菌らしい。どんなキノコが出てくるんだろう。



 そして、沢が崩れて広くなった河原に出ると、いきりなり足下から何かが飛びだした。小さなもので、青い色が見える。飛び立っては、少し先に下りる。と言う事は、ハンミョウだろう。歩くと、次々に足下から飛び立つので、捕まえようとしてみたけれど、広い所だし、網もないし、トロイのでさすがに無理。ならば…、と思って座り込んで、じっと地面を眺めて見た。すると、少しずついろんな所にいるハンミョウが見えてくる。

 
  


 数えて見るとぱっと見えるだけでも10匹以上いて、中にはこちらに近づいて来るものもいる。近寄ったものを眺めると、鮮やかな青に赤に白に、本当に色合いが綺麗だ。そして彼等は、細い脚で頭を掻いたり、キョロキョロ辺りを見回したりしていて、なんだかひょうきんな様子にとても楽しくなる。
 ハンミョウはたまに山道で見ていたけれど、とにかく綺麗だからそれだけでも嬉しいのに、こんなにたくさんいるところは初めて。カワラハンミョウとかなんかじゃないただのハンミョウだから珍しくはないものだろうけれど、山ほどのハンミョウがいる、そんな場所を見つけたことが嬉しくて、1人にやにやしながらずいぶん長く観察をしていた。




 唯一悲しいことは、「ハンミョウがね、ものすごくたくさんいる河原を見つけたんだよ〜。すごい楽しいよ〜。」と、この喜びを伝えられる相手がいないことです。



 ああ、悲しい…。