hyla’s blog

はてなふっかーつ!

海岸の生きもの

 8月の最後の日曜日、風は秋気配だけど朝から強い日差しだった。せっかく最後の日曜日なんだし何かしよう、と思って、雲が出て少し日差しが弱くなったところで、出かけてみた。


 向かったのは、少し離れた海岸。ここは以前、ヒョウタンゴミムシを始め、たくさんの虫がいたところだ。海水浴場にもなっているのだけど、さすがに今時だし、お盆も終わった海岸で泳ぐ人はあんまりいなくて2.3組。けれど、ビールやアイスクリームを売る海の家が出ていて、何だかそういうのを見るのも久しぶりで懐かしかった。


 で、ふらふらと海岸を歩きながら、海藻の下に何がいるのか見てみる。今回もやっぱりたくさんのトビムシと、それからハネカクシの類が3種くらい。それにヒョウタンゴミムシが出てきた。


 これらの生き物は、以前は乾いた海藻の下でもたくさん見たけれど、今回は濡れた海藻の下にしかいない。やはり夏で暑いからなんだろう。実際海岸の暑さは確かに猛烈で、強い日差しが砂で照り返して眩しくて目が痛いほどだ。過酷なこの時期に比べると、5月の方が圧倒的に虫の種類は多かったなと思う。


 それでも、この時期にハマゴウもハマナデシコも咲いているし、ちょっと日陰になった所では、ハマダンゴムシをわんさか見た。


 

 ここの海岸のハマダンゴムシも含め、この辺のハマダンゴムシはみんな白っぽくて、それがちょうど海岸の砂の色に大して保護色になっている。「ハマダンゴムシ」で検索して出てくる写真の多くは黒っぽい個体だけど、どこからこういう白っぽい個体になるんだろう。日本全国のハマダンゴムシの色について、調べたら楽しいだろう。今は携帯やスマートフォンの写真の技術も上がっているし、どっかの博物館で、みんなが浜辺で撮ったハマダンゴムシの写真を集めてみたら楽しそうだし、分布調査にもなるんじゃないだろうかと思った。来年、どこかでやってくれないかな?

 

 そして、今回一番うれしかったのは、これ。アリジゴク(ウスバカゲロウの幼虫)



 海岸のアリジゴクということは、ウスバカゲロウではない種類だろう。近くにあった木の枝で穴を掘り返して、アリジゴクを捕まえてみた。すると、やはりいつもみるウスバカゲロウのアリジゴクとは印象が違ってて、これはやや黒っぽくシャープな感じがする。そして、やたら敏捷に動いてなかなか写真が撮れない。何とか撮った写真を元に調べると、頭の先に黒っぽく十字模様が見えるので、多分クロコウスバカゲロウかなと思う。浜辺に生息するアリジゴクがいると言うことは、昔読んだ砂の魔術師アリジゴク―進化する捕食行動 (中公新書)で知っていたけれど、本物は初めて見た。

 けれど、このアリジゴクの穴は割と広い海岸のごく一部、やや山よりの、細かな砂の堆積しているところでしか見られなかった。
 
 


 と言う事は、クロコウスバカゲロウは、かなり環境の選り好みをするのだろう。ここでもそれほど数はいないだろうし、ちょっと環境が変わればすぐにいなくなりそうだ。けれど、この海岸も海砂の減少が激しく、最近また砂を入れたと言う事を聞いた。よく見ると、確かに砂を入れたことがわかる。
 
 


 砂浜を保護したいのはわかるけれど、この浜にはヒョウタンゴミムシやナガヒョウタンゴミムシなど様々な生き物がいる。安易に砂を運んでブルドーザーでならしてしまうのは、どうなんだろう。特にクロコウスバカゲロウみたいに、ごく一部にしかいないようなところに砂をかぶせてしまうと、すぐにいなくなるんじゃないだろうか、とちょっと心配になった。

 
 いろんなものを発見するのは楽しいけれど、同時にその未来を考えると切なくなる。
 また今度来たときにも、これらのものが見られるといいな…。
 

 それと、どっかに置き忘れたピンセットも見つけられると良いな。
 でも、その頃には錆びてるか…orz。