hyla’s blog

はてなふっかーつ!

三岸せいこ

 夏の間に、少し本の整理をしようと思った。すると、当初の目的を忘れて、本を読みふけってしまうのはお約束。


 で、今回読みふけっていたのは、主に80年代〜90年代の少女漫画。これがね〜、今読んでもどれも良いんだな。大人になっても、何度読んでも感慨深い。水樹和佳の「樹魔・伝説」や「虹-セレス還元」。内田善美の「空の色に似ている」や「ひぐらしの森」。あるいは吉田秋生の「河よりも長くゆるやかに」や「夢みるころをすぎても」とか。そういうものを読んでは、あの頃の少女漫画は、なんて充実してたんだろうと思う。


 で、上記の作品はどれも有名なものだけど、それに対し比較的知られていないんじゃないかと思うけど、私は大好きだったのが「三岸せいこ」さん。主に漫画雑誌の「ぶーけ」で描いていた人で、繊細でシンプルな線で描かれた絵は叙情的で、物語もファンタジーやSF風、あるいはコメディといろいろあったけれど、どれも独特の感性が光る作品だった。
 短い間しか描かなかったので、単行本は「ヴィクトローラきこゆ」と「夢みる星にふる雨は」の2冊しか出てないけれど、その中でも特に「夢見る星にふる雨は」とその中に収録されている「リフレイン」は好きだった。


 「リフレイン」では、美しい村に住む若い女性が、自分たちが同じ時間を何度も繰り返しているのではないか、という事に気づき、それは何故なのか考える。そして、「誰か死ぬ瞬間に自分の過ごした美しい時間を夢に見たのかもしれない。そして自分達はその夢のなかの存在でしかなのかも…」と考える。それに対し、村に迷い込み女性を愛してしまった宇宙飛行士は、「きっと帰って来るから、待っていてくれるなら、最初にであった時のように、髪を下ろして自分をみて欲しい」と語る。アイデア自体は良くある話なんだけど、美しくシンプルな絵と簡素なセリフには、たくさんの余白があって、そこに読み手は自分の思いをのせてしまうのだ。じっと見つめてしまう絵なんだな〜。

 
 そして、ごく短い間描いて、その後ぷっつりと消息が消えた「三岸せいこ」さんの作品は全部で13作品しかないのだけど、そのうち最後の3作品「ドーンを待ちながら」と「夜行列車にのって」「グリーンスリーヴス」は雑誌掲載のみで、単行本にはなってない。実に実に残念。


 けれどですよ、やはりそういう「三岸せいこ」さんには、私も含めコアなファンがいたようで、復刊ドットコムに復刊リクエストが出ていた。もう絶版して手に入らなくなっている上記の単行本2作に加えて、未収録の作品集のリクエストも出ているではないですか。

 それがここ。

 『三岸せいこ未収録作品集(三岸せいこ)』 投票ページ | 絶版・レア本を皆さまの投票で復刻 復刊ドットコム 


  

 で、長々とここまで書いてきて何が言いたいかというと、そりゃもちろん、皆様リクエストしませんか?ということ。



 絶対に良いんです!本当に良いんです!

 だから、未読の方も既読の方もリクエストはいかがですか〜。