hyla’s blog

はてなふっかーつ!

採りに行く

 本当に忙しいのだけど、やっぱり木曜日は来るので、何とか時間をひねくりだしてFITの回収に行った。出かけた時間は既に6時を過ぎていたし、空はこんな感じで、山の中に入るととても暗い。

 

 しかも山に入ると、周囲に水滴がついている。そういえば雨こそ降らななかったものの、日中雷が鳴った時間があった。その時間、ここには雨が降ったようだ。だから、この所の暑熱でさぞかし乾燥しているだろうと思ったのだけど、足下も空気も湿って重い。山の入り口では、ジーっと虫の鳴く音がして、見るとアブラゼミが羽を植物の葉に絡めたままじたばたしていたので、離してやった。けれど、羽化の時に羽が絡んだらしく、片羽はくるくるカールしたまま固まっていて、これでは飛べないだろう。その辺の植物に止まらせてやったけれど、やがてはアリの餌食になるだろう。


 山道を歩くと、ヤブ蚊とコバエが執拗にまとわりついてくる。もちろん露出している腕や首には蚊よけスプレーをしてきたけれど、中にはスプレーをしなかった服の上から血を吸おうとしているものもいる。ひっきりなしに近寄ってくるそれらを避けるには、山を出れば良いだけのことだ。それを更に薮の中に入るものだから、その上蜘蛛の巣までかぶることになる。

 

 そうやって、近寄ったFITには、こんなものが入っている。

 
 あ、カマドウマ。ごめんね。私がこんなものをここに仕掛けたばかりに…。
 カマドウマは、何となく好きだったりする。子供の頃の遊び相手にはちょうど良い。物置を開けると大抵これがいて、その長い優美な触角の動きをじっと眺めて楽しんだものだ。けれど、夏が暑くなるにつれて、雑草でも枯れるほどに乾燥するようになって、余り見られなくなってしまった。けれど、ここには落ち葉もあるし木もあるし、一番暑い頃も湿度はそれなりに有るんだろう。




 回収を終えて、立ち上がると近くの木の幹に白いものがついているのに気づいた。

 白くて柔らかくてつぶつぶしている。これは、多分粘菌の変形体から子実体へ変化しているところ。梅雨の間に地面で成長した変形体が、梅雨の終わりを受けて胞子を飛ばす準備に入ったのだろう。
 昔これと同じようなものを小豆島で見たことがある。数時間後に同じものを見た時、それは真っ黒な粉状のものに成っていた。これはどんな風に変わるのだろう。



 人によっては、実につまらないものだろうけど、こういうものを見ると嬉しくなる。どれほどヤブ蚊がいても、びっしょり汗まみれになりながらでも、濃密な空気を吸いながらじっと小さなものを眺めていたくなる。そして、自分が如何に生き物を知らないか実感するし、だから眺めて、調べて、わかると嬉しいし、自分で何かを見つけられるようになっていくことが嬉しい。



 しかし、「眺めていたくなる」と打とうとしたら、ATOKが「眺めて痛くなる」と変換してくれたのは、何やら暗示的…。