hyla’s blog

はてなふっかーつ!

多いものと少ないもの

 昨日回収したFITの虫を、ちまちま仕分けした。それを実体顕微鏡で確認しながら、いろいろ考えてみる。

 今回回収した虫の中には、下の写真のようなハネカクシがいた。相変わらず、ハネカクシハネカクシまでしかわからないのだけど、どちらかというとかっちりした体型をしている。

  

 
 それからこちらのハネカクシは特にしっかりした形とまばらで長い毛が印象的で、口器がヘビケラ型だから多分捕食性のハネカクシだろう。

  

 
 で、最近入り始めたこうしたハネカクシは、どれもぱらぱらと入ってくる。ヘビケラ型ハネカクシは1匹だし、上の写真の黒いハネカクシは2匹で、茶色のは1匹。その他のものを入れても、今回回収した中ではハネカクシ自体が全体の半分にも満たなくて、整理する方からすると有り難い。(今回はキバネホソコメツキの嵐なのだ。)


 
 ところが冬の間はハネカクシが多くて、しかもそれらの入り方はとにかくある時に、特定の種が集中して入る傾向が強かったように思う。例えば、FITを始めた1月〜2月に多かったのはこれ。特にヨツメハネカクシの仲間と伺った左のハネカクシは、一時は20匹くらい一気に入っていた。
 
 

 

 その次に来たのは、これ。これには、本当に苦労させられたので、また入るのは勘弁願いたい。これは2月の終わりから3月の頭の暖かな日があった時に一気に入っていた。

 
 


 これに対して、今回のハネカクシや、下の写真のようなヘビケラ型のこういう個体は一気に入ることもないし、そもそもこれまでの所では、回収された個体数は決して多くない。下の茶色のヘビケラ1号は2匹。上の黒いヘビケラ2号は、ここまででは1匹のみだ。


 



 これは、なぜなんだろう?

 ハネカクシというのは非常に多様化しているらしく、食性も捕食性も菌類などを食うもの、いろいろなものが存在しているらしい。捕食性と思われるヘビケラ型ハネカクシは少し、それもバラバラと入るということは、個体群密度はかなり低いということか。高次の捕食者になればなるほど個体群密度は低くなるだろうし、更に餌の特殊化が進むと、個体群密度はもっと減るだろう。牙の形からも、ヘビケラ型は、捕食性でかつ特殊化していると言っていいだろう。
 それに対して、一気に集中して採れるものは、植食性(菌類食)などで、そのハネカクシが食べている餌が豊富に見られる時期に、一気に繁殖し分散するのではないだろうか?


 この仮説が正しければ、これからもヘビケラ型ハネカクシは、バラバラと採れるはずだし、比較的口器の小さなものは、個体数が多く集中して見られるようになるはずだ。



 ほぼ一週間単位で地道に回収しているので、ハネカクシでもそれを種類ごとに分けて、折れ線グラフを書いて、口器の特徴と共に分析すれば何か出てこないかな〜、と考えてみた。ひょっとしたら、1年間を通して1匹しか採れないなんてハネカクシだってでるかもしれないし、100匹単位で出るものもあるかもしれない。複数採れるものも、短期集中型と連続発生型がいるかもしれない。



 
 そんな事を考えて、ちょっと嬉しくなったが、やってみるには大きな問題が…。

 
 てか、そもそもハネカクシなんか同定できないって。グラフを作っても、同種と思い込んで、複数のハネカクシを一緒にしてしまうに違いない。かつ、ハネカクシのそれぞれは何を食べているかわからない。年間の発生回数や、一世代の長さや産卵数なんかの基本的な情報も全くわからないので、仮にグラフができても、考察できる訳がないだろうなあ。


 それに、よく考えると、これからの時期は捕食性のハネカクシの餌になるような生き物の大量に発生するだろうし、捕食性でも集中して発生するような気もする。


 
 と言う事で、このプランも没かな〜。



 でも、ヘビケラ型ハネカクシって、他の地域のFITでも同様な採られ方してるんかね〜。知りたいっちゃ知りたいね。


 その前にこれらの本当の名前も…。