hyla’s blog

はてなふっかーつ!

ハチも愛でる理由


朝、廊下を歩いていると、窓の下の物陰にハチが1匹いた。誰も気づいていなかったので、そのままそうっと捕まえて、窓の外に離してやった。

 



 大型のアシナガバチだから、これはセグロアシナガバチかキアシナガバチで、多分セグロアシナガバチの方ではないかと思う。この時期活動しているだから、これは暖かくなって目覚めたばかりの新女王で、これから独りで巣作りを始めるのだ。そういう点で、これは大切な1匹なのだ。
 
 
 私の勤務先は田舎だし敷地には樹木も多いので、こうした蜂類は年間を通して建物に迷い込んでくる。
 そのたび
「きゃー、ハチハチ〜。」
 と大騒動になり、
「ハチが出ました。」
 と動員されて、ハチの処理に当たる。
 それは私の仕事なんぞではないのだけど、連絡を受ける度に机のすぐ傍に常備した捕虫網を持って行って、捕獲し逃がしてやる。他の人が対応すれば、殺虫剤で処理されたり、叩きつぶされたりすることもあるからだ。



 ハチは、確かに刺されると痛いし、腫れる。私もこれまでに何度も刺されたことはある。
 けれど、刺されるのは、服に潜り込んでいたハチに気がつかずに服を着てしまった時や、巣があることに気づかず、その傍に大きな振動を与えたときだ。家の庭には毎年何か一つくらいは蜂の巣ができるけれど、ハチに気をつけていれば、その行動から巣があってもすぐにそれとわかるし、巣の近くで活動する時に気をつければどうと言うことはない。


 そうやって、ハチをむやみに殺さないのは、最近ハチが減ってきている気がするからだ。
 ハチはそれなりに高次の消費者だ。そのハチを過剰なまでに危険視して殺していくことは、生態系で重要な役割を果たしている彼等の役割を、軽視する事になる。最上位の捕食者であるオオカミを失って、増えすぎて大きな問題を引き起こしているニホンジカの問題のように、ハチが生態系から減少することは、非常に危険ではないだろうか。
 
 それと単純に、ハチは面白い。ファーブルの狩り蜂の話や、ティンバーゲンの実験。あるいは岩田久二雄の「ハチの生活」なんかで語られるハチの生活はどれも興味深いし、そうやって何気なくハチの行動を追っかけて見ると、実に多様な姿を見せてくれる。
 また、日頃見かけるハチの大部分は、そもそも大きな巣を形成する真社会性のハチではなく、人を刺すことなどほとんど無い大人しい生き物だ。人を刺すハチは、アシナガバチスズメバチなどの一部のハチにすぎない。

 

 だから、普通の人がそうしたハチについての知識を持って、ハチとのつきあい方がもっと普通にできるようになれば良いのにと思う。


 そして、それには、やはり啓発活動だと思うんだな。

 
 ハチってカワイイ、とか、ハチって面白いと思う時にそれを素直に言っちゃう。そのためには、ハチについてもっと知る必要がある。知りたい。身近に見るハチの事くらいは、名前を、生態を知りたい。けれど、ハチの図鑑というのは、本気にない!ほとんどのハチの図鑑は絶版してて、「日本蜂類生態図鑑」なんて13800円の定価が古本価格で4万円以上!さすがにこれを買うのはきついんだな。




 と言う事で、これからは「ハチ」が来ると思うんです。絶対に潜在的需要はあると思うんです。ミツバチ飼育だって、都会じゃ流行っているというじゃありませんか。
 


 文一総合出版始め、生物系の出版社の方々にお願い。
 
 どうかハチの図鑑を出して〜。

 
 まずはハンドブックで良いから、「蜂の巣ハンドブック」とか、「寄生蜂ハンドブック」とか、「ハバチハンドブック」とか「花に来るハチハンドブック」とか出して〜。
 
 

 そして、最終的には、是非「日本蜂類生態図鑑」の改訂版を!





 ただし、定価は3万円内で…。