春霧

　朝家を出ると、当たりは向こうがぼんやり霞んで、春霧だった。

　瀬戸内は、昔から春霧が良く出る。しっとりひんやりした春の霧の冷たさは、とても好きだ。他には、雨も好きだし、雪も好き。要するに、空から落ちてくる水は何でも好きなのだ。何せ香川県人だから。でも特に、霧が出ると景色は一変して、何だかわくわくする。

　けれど、そんな春霧も、雨もこのところめっきり減ってしまって、とても寂しい気がしていた。霧が出れば、車の走行速度も落ちるから渋滞が起きるし、停船勧告も出て島へ通う人は足止めをくう。大人としては「霧が出て嬉しい」なんて事は言ってはならないのかもしれないけれど、しっとりとまとわりつく霧は、気がつくと水滴となって何もかもを優しくぬらしていく。そんな霧に濡れた植物は、花はもちろん、雑草でさえも驚く程美しい色を見せる。

　　

　今朝は久しぶりに真っ当な霧がでたから、嬉しくて霧の中を歩き回り一生懸命写真を撮り…。

　
　
　気がつくと何故だか茂みに入って枯れ木を割ってる。
　そして、こんなものを見つけてたりする。

　

　これを崩すと、好白蟻性昆虫なんかが本当に出たりするのかな〜。