hyla’s blog

はてなふっかーつ!

ナウシカの虫

 昨日、海岸の昆虫を見るついでに、先週のFITで採れた昆虫をチェックしてみた。今回は、同行させた若者にも処理をしてもらったので、全部を細かく見てはいなかったのだ。

 そうっとタトウを開いて見てみると、採れているのはいつもの通り、ハネカクシがとにかく一杯。それに、一匹小さなゾウムシが入っていた。けれど、このゾウムシもまた、これと言って特徴のない小さなゾウムシで、図鑑をぱらぱらめくって、あっさり同定はあきらめた。とにかくゾウムシであることだけは間違いあるまい。

 

 
 

 けれど、ハネカクシの方は、名前はわからないなりに、ちょっと変わったものも入っていた。
 
 例えば、先だって入っていた、下の左のような見事な牙のある茶色のハネカクシがまた追加で1匹はいっていた。背面から眺めて見ると、ちょっと眼の飛び出たなかなかひょうきんな顔をしている。それから、右のように、もっと見事な牙を持ったハネカクシもいた。鋭く湾曲した牙は、細かく分かれて更に長く、なかなか見事だ。
 
  



 先だっての奴と並べてみると、体型はずいぶん違うので、分類的にはだいぶん違うものなのだろうけれど、どちらも細長い体に牙を持っていて羽で飛ぶという点で、これはそう、ナウシカに出てきた虫だ。

 
 

 

 物語の三分の一くらいでアスベルが虫に追われていて、逃げようとして崖を落ちる。その落ちるアスベルめがけて飛んできた長虫。その鋭い牙を開いて虫がアスベルを捕らえようとした一瞬、ナウシカメーヴェでアスベルを救いだしすのだ。「あなたは虫を殺しすぎる。もう虫笛も光球もきかない。」とかなんとかいうシーン。

 
 あの虫の名前は何だったっけ?
 気になって調べて見ると、あれは「ヘビケラ」というらしい。


 
 と言う事で、このハネカクシの本当の名前はわからないけれど、とりあえずは「ヘビケラ1号」と「ヘビケラ2号」と呼ぶことにしよう。



 そして、考える。



 私たちは、こんなに小さな虫は、そこにいてもそもそも見ていない。けれど、もし私たちが「ミクロの決死圏」(古い!)のようにミクロンのサイズになって世界を見たならば、このハネカクシはまさしく「ヘビケラ」そのものだろうし、土壌から数cmまでの世界は、多種多様の菌類のあふれる世界だろう。粘菌がつくる子実体や担子菌の作る担子器は、ビルより高く見えるだろうし、菌類の出す胞子や被子植物の花粉は、実りの季節を迎えて、たいそうなご馳走が天から降ってくるようにみえるのかもしれない。いやあるいは、それは傷口から入り込み、いつしか生物を苗床として増えていく恐るべきものか?


 いずれにせよ、実体顕微鏡で世界を覗けば、そこには見たこともない摩訶不思議な世界が、まだまだ広がっているのだ。




 と言う事で、家にも自分の実体顕微鏡が欲しいなあ〜、とそういう話です。