hyla’s blog

はてなふっかーつ!

SF読み的には納得いかない

何となくネットを見ているときに、「another」というアニメを見つけた。

 公式webのあおり文句によると、

 ”新本格ミステリ”ムーブメントの騎手、綾辻行人がおくる
 いまだかつてない「学園ミステリ&ホラー」

 なのだそうだ。


 まあ、いかにも〜な雰囲気のある絵で、物語はどう展開していくのか、という興味を持ってざっとあらすじを見た。
 
 雰囲気の作り方はうまいと思う。やたら眼が大きくて、口が異常に小さいキャラクター造形なんかは、今のアニメ絵の文法に則っているのだろうからそれはそれ。
 
 
 けれど、どうしても設定に納得がいかない。

 
 26年前に、事故死したクラスメイトをいるもののようにして扱った事で、その霊?が教室に居座ることになった3年3組。以降、毎年いつの間にかクラスメイトが増え、更に一月に1人程度クラスの生徒やその二親等内の家族が事故死する。卒業すると、死者がクラスメイトとして混ざっていたことがわかるが、在学中は記録も記憶さえも改竄されてしまうためにわからない。その死の連鎖を止めるには、誰かをいない者として扱う事で、クラスメイトの数が増えないようにするしかない。



 という基本設定。



 う〜ん。26年前に事故死した生徒の霊が実は一緒にいた、というのはまあ良し。で、それ以来3年3組に(死者)霊が入り込むようになったのもホラーの文脈ならありだろう。でもさ、死者が混ざっているのに、そのことがわからない。記憶はまだしも、記録さえも改竄されてわからなくなってしまうってのはどうなんだろうか?あり得ないよな〜。
 そもそもそういう3年3組のいないはずの一人は、他のクラス、他の学年の生徒にはどのように認識されるのだろう?そういう点がとても不思議。


 それに、1年のうちに同一クラスで複数の生徒が死ぬクラスなんて、2年以上続いたら、そのクラスになった途端に、転校が相次ぐだろうに。そのクラスにならなくても、そもそも「そんな学校に行くくらいなら、私立行きます。」となって生徒が集まらず、廃校になるような気がする。
 それとか、「3年3組=3年の真ん中のクラス」がヤバイクラスになるということだけど、じゃあクラス数が減少して4クラスや2クラスになったらそもそも「真ん中のクラス」が成立しないだろう。そしたら、どうなるんだろう?


 更に、呪いを解くには、「混ざっている死者を死に返す=殺す」ことが必要ということがわかり、合宿所でバトルロワイヤルになってしまっていた。
 でも、主人公の見崎鳴という子は、失って義眼を入れている方の眼で見れば、死に近い人は色でわかるとか。(義眼なのになぜわかるのか、という突っ込みはしない。)しかも写真を通してもわかるのなら、新学期の開始時点でも、死者が誰だか知ろうとすればわかったはず。あるいは、事故死が近づいているクラスメイトも見分けられる可能性があるし、義眼を見せるのが嫌としても、写真を通して確認して忠告することもできよう。
 少なくとも自分の机に、思わせぶりに「死者は誰?」なんて書く必然性はある?知りたければ、判別する力はあるのだからわかるでしょうに。自分も3年3組の一員として死ぬ可能性があるはずなのに、なぜ死者を殺すことが必要とわかった時だって、もっと周囲の協力を頼むなりなんなりして、素早く行動し始めないのだろう。なんか、当事者意識が少ないのが不思議〜。



 

 ただまあ、本当はそういう野暮な事は考えず、暗く幻想的な雰囲気の中で進む推理を楽しめばいい作品なのだとは思う。
 

 でも、とても大人げない、と思いつつ、こういう事が気になってしょうがないのは、やはりSF的文法に慣れているからなのだろう。そもそもどこの時代でもない完全なファンタジーならいいけれど、現代の日本が舞台なら、例えホラーといえでも、現実の現代の社会設定のその延長線上に物語は構築されて欲しいと思ってしまうのだ。現実に近い設定になるほど、そこのところがとても気になるのだ。
 もうね、さくっとパラレルワールドの設定なんかをかけてくれると引っかかりが少なくなるのに。SF者的には、雰囲気だけで引っ張るのは、やっぱりダメっすよ〜。




 アニメは原作とだいぶん違うみたいなので、原作は、もっと納得いくのかもしれません。



 とりあえず、結末がどうなるのかチェックはしてみよう。