山で遭う
昨日は仕事で一日拘束されてので、FITの虫を採りに行けなかった。まあ、そんなこともある。だから今日、雨の中なんだけど、山へ虫を採りに行った。
朝から降る雨は、昼を過ぎても止む気配がなく、気温は朝よりむしろ下がって冷たい雨だ。ずいぶん待ったけど、どうにも止まない雨にあきらめて、山へ向かった。
車を降りて、ぬかるんだイノシシの足跡だらけの道を、一人とぼとぼと歩く。そしてFITを仕掛けた藪について、一歩踏み込んであれっ?と異常に気づいた。地面に溜まった落ち葉を、引っかき回した跡がそこここに残る。
一週間前は、落ち葉は綺麗に積もっているだけだった。山道を外れて、何もないこんな藪に入る人などいるはずがない。ということは、これはイノシシだろう。この山にはイノシシが多いから、道の途中にも、餌を探して土を掘ったラッセル痕が至る所に残っている。ここまで来たのか〜、と思いながら屈み込んでイノシシの掘った跡をたどろうとして、ふと変な音に気づいた。
ぼうっぼうっ。
くぐもった低い音。
藪に沿って流れている小さな川の水音ではない。雨の雫の落ちる音でもない。
ぼうっぼうっ。
竹が揺れて鳴る音でもないし、木のこすれ遭うような音でもない。機械の音でもないし、誰か人が歩く音とも違うし、これは何?
ぼうっぼうっ。
…。
これって、動物の声?
まさか、イノシシ?
イノシシが近くにいる?
と思った途端、5mほど先の藪の中から、大きな黒い影が川を横切って違う藪に入るのが見えた。
才才−!!w(゚o゚*)w
イノシシだ!イノシシを見た。見たよ、イノシシ。イノシシがいるよーーーーーー!
こ、これはひょっとしてヤバイ…。
思わず立ち上がった拍子に、頭の上にあった枝に頭をぶつけ、ざっぷり落ちてきた水滴に濡れながら立ち尽くしてイノシシの消えた所を眺めた。
声は、繰り返し続く。遠ざかって行く気配もなく、ずっと鳴いている。
どうして逃げないのか?攻撃する気なんだろうか?1対1なら、多分負ける。ここは逃げるべきか?
さあどうする(゚o゚;
と、考えていると、また同じ場所から今度は小さな黒い影が2つ川を横切っていった。
ああ、子供だ。子供を呼んでたんだ〜。
そして、そのまま立っていると、やがて声は聞こえなくなってまた静かになった。
イノシシが多いことは知っていたけれど、よもや本当にイノシシに遭うとは思わなかった。まあ、イノシシの方も驚いた事だろう。逃げてくれて良かった〜。と、ほっと一息。
そして、本来の目的を果たすべく、FITに近づいてみたら、2つあるうちの1つはこんな事になっていた。
あ・・・・・・、イノシシ。
この場所では、吊り下げ式にしとけば良かったかな〜。