hyla’s blog

はてなふっかーつ!

「はやぶさ」を見に…

 しばらく前に、職場にこれのチラシが送られてきた。


 あの「はやぶさ」のカプセルが高松に来る。それなら、やっぱりちょっと見てみたい気がする。「少し気になる」事は、チャレンジせよ。と人に言っている手前もあるし、ここはやっぱり行ってみようと思った。そして、どうせ出向くなら、講演まである日に行くのが良い。


 と言うことで、午前中の予定をすませて、ぎりぎりに高松に向かった。近くの駐車場に車を置いて、大学へ歩き出すと、多分この人達も同じく大学へ向かっているのだろうと思われる子供連れの家族が数組あった。講演の時間も迫っていたので、とりあえずは中に入らず、そのまま講演の行われる大講義室へ向かった。時間はぎりぎりだけど何とか大丈夫、と思って会場に入ろうとして驚いた。何と会場は人で一杯。確か会場となっている教育学部の中では最も大きな階段教室なのだけど、全ての席は埋まっていて、なおかつ会場の横や後ろに既に立っている人がいる。
 どうしよう?と一瞬迷ったけれど、せっかく来たのだからとりあえず入ってみた。ずんずん入って、そのまま奥に上がっていって、何とか壁沿いに立つ人の中に潜り混んだ。


 まもなく講演が始まって、博物館担当の方も「こんなにたくさんの方が来るとは…ありがとうございます。」みたいな事をおっしゃってたから、予定外の人気だったのだろう。そして、jaxaの吉川先生と、北海道大学の  教授の講演を聴いた。


 どちらもいろんな所で講演をしているだろうし、動画なんかも駆使して素人でもわかりやすい説明だった。特に、北海道大学の先生の講演は、小惑星の研究からわかること、その研究の過程をイメージしやすく、でも1時間という時間制限の中で物語性をもたせて説明されていて、上手いなあ〜と感心した。


 質疑も大盛況で、予定を30分以上オーバーして終わった後、大急ぎでハヤブサのカプセルを見て、帰った。

 


 にしても、博物館の人も、JAXAの人も、「こんなに来るとは…想定外」って感じだった。実際、これまでの大学博物館の催しでどれだけの人が来ていたのかは知らないけれど、今回の約400人というのは超例外的に人を集めた事は間違いないだろう。じゃあ、それはなぜなんだろう?


 来ていたのは、大人が8割で、子供や高校生は少ない感じだった。今回のイベントには、共催として「日本宇宙少年団香川惑星分団」が噛んでいて、そこに所属している子供やその保護者でかなりの人が集まっていただろう。それから、大学生らしき年代も見られた。けれど、最も多いのはおじさんおばさん達で、そもそもこういうイベントが大好きで、博物館のイベントがあると聞けば毎回参加するような向学心あふれる人達がいるだろう。そして、そこに今回「はやぶさ」ということで、「はやぶさ」なら見に行こうか、と思ってきた人がいる。そして、あの大会場は一杯になったのだろう。

 
 「はやぶさ」はじゃあ、なぜ、人をひきつけるんだろう。「有名な俳優の出演するような本格的な映画が三本もできるとは、これもまさしく想定外だった。」と吉川先生がおっしゃっていたけど、でも、映画になりえる魅力を持っているネタであることは確かだ。吉川先生が公演中に公開中の映画の予告編を少し動画で出していたけど、映画『はやぶさ/HAYABUSA』はやぶさ2打ち上げ記念!2014.11.21ブルーレイ&DVDリリースそれを見ながら実際にちょっとグッと来た。ベタベタのベタだけど、あのはやぶさ自身のモノローグ「僕はここにいるよ」「僕の故郷、地球は本当に綺麗だ」「みんなただいま」はずるいや。
 そして、あれって、アトムの最後のセリフ「あっ地球だ。地球は綺麗だなァ・・・」みたいじゃないか。サイボーグ009のブラックゴーストと戦った009が地球に落下するシーンとか、そういうのと強烈にだぶる。


 つまり、遠くへ行き、そして困難を乗り越えて還ってきて、そして還ってきたから燃え尽きた「はやぶさ」を私たちは完全に擬人化し、そしてその生涯に共感してしまっているのだ。特にアトム的なもので育った世代はこういう物語に弱い。プロジェクトXでも感動は一杯あったけど、そうした人の物語+「はやぶさ」自身への共感のコラボだから、ここまで人を集めてしまうのだろう。



 現代は、震災やフクシマの問題に加えて、最近は欧州発の経済危機がどうなるかわからないし、洪水が多発するなど地球規模で何もかもが変わっていきつつある時代だ。けれど、その原因の一翼を担っている人類は、見方を変えればそうした問題を解決する力も持っているかもしれないのだ。
 疑問を持ち、考え、実験し、証明し、その地道な繰り返しこそが科学の営みで、そこにはどんな状況においても失われることのない、とびきりのロマンがある。そういう意味で、混迷の世の中において、科学することは、夢みる力を失わないことだし、希望を失わない事でもある。生態学でも何でも科学なら全部そうだけど、「はやぶさ」の物語は、世界初のチャレンジとその成功という、とてもわかりやすい形でそれを示してくれるのだと思う。



 jaxaは、こうしたイベントを持って国内を循環することで、宇宙への興味、自然科学の啓発をもくろんでいるのだろう。そして、それに対する反応をみて、日本人もまだ捨てたものではないかもしれないとちょっと思った。


 今jaxaでは「はやぶさ2」の計画が始まっているのだそうだ。アルマ天文台でも、大きなパラボラがみんなで空に向かって耳を澄ませている。天文や宇宙についてはあまり知らないけれど、そういうことを見聞きすると、ほっとする。
 


 のはやっぱり変なのかな〜。