休日

　朝起きたら雨だった。時折、激しく横なぐりの雨が降る。そして、また静かに風だけが吹く。

昨日でやっと仕事が一山超したので、ちょっと落ち着いて、少し雨が降り止んだ隙に遊んでみる。

　庭に出てみると、足下がぐっしょり濡れる。
　庭にはいつの間にか、たくさんのハグロトンボが静かに飛び交うようになっていた。ハグロトンボは川で羽化した後、しばらく薄暗い林の中で生活し、繁殖するようになると、川に戻るのだそうだ。我が家の庭は、彼等の餌になるような小さな虫がたくさんいるのだろう。

　近くの川では、台風に備えてだろう。橋近くの川面に倒れかかるように生えていた竹藪を、雨の中工事の人が伐採していた。多分、明日はまた大水が出るだろう。一日でまた川は大きく姿を変えて、きっと川に住むカメやカエル、魚や川で繁殖する鳥たちは右往左往するだろう。たくさんの生き物が海へと流されていくだろう。
　
　けれど、そうやって流れていった命は、また海で新たな命の糧になる。そして、茂る河原では生息できない生き物、攪乱された河原を好む生き物がやってきて、また新たな遷移が始まるのだ。

　明日は、どれほど荒れるのだろう。
　願わくば、雨だけほどほど降ってダムを一杯にして欲しい…。