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「一年で一番暗い夕暮れに」

一年でいちばん暗い夕暮れに (ハヤカワ文庫 NV ク 6-9) (ハヤカワ文庫NV)

一年でいちばん暗い夕暮れに (ハヤカワ文庫 NV ク 6-9) (ハヤカワ文庫NV)

 
 同じく、昨日買った一冊。寒いし、何となく出かける・活動する気力はなく、でも本を読む頭の動きは戻っていて、だから一日次々に読んでいた。

 
 で、これはディーン・クーンツで帯には「犬愛がほとばしる!」とある。クーンツの犬愛っぷりは、「ウォッチャーズ」でも十分わかるし、犬の書き方や犬に対するスタンスは好きだ。なので、買ってみた。


 これはラブ・サスペンスものに分類されるんだろう。クーンツ作品にありがちな通り、主人公は若い頃の経験で心に傷を負った男女で、危険に立ち向かいながらその過程でその傷を癒していく。ったく、アメリカ人の中年男女はみんな過去のトラウマをかかえてるくせに、そういう男女で好きあって立ち直っていくのはみごとっすね。と言いたくなるくらい、クーンツ節だ。気持ちいいけど、どっか素直に共感できるとは言い難い恥ずかしさみたいなものを濃厚に感じるのだな。

 
 で、ウォッチャーズは、そういう男女にアインシュタインという見事なレトリバーが出てきて、もうそれだけでほれぼれしちゃうのだ。こういうわんこが側にいれば…、とつい思っちゃうのね。そして、そういうわんこが良い味を出していて、それにウォッチャーズでは、アインシュタインと正反対の存在である怪物の存在が残虐であると同時に哀しくて、それが味わい深くて、あの作品は好きだ。


 けど、この作品は、準主人公であるニッキーという名のゴールデンレトリバーや、同じくエセル・フレッド達は可愛い。けど、ウォッチャーズではSF的なガジェットですり抜けたわんこの賢さが、今作では心霊現象に思いっきり頼っていて、そこがいささか鼻につく。全編にわたって、心霊的な現象をちりばめて、問題の解決、特にラストシーンで敵を倒したもののその敵に討たれた主人公達を治癒する霊的存在って何?それを使えば何でもありですよ。物語としては、禁じ手ではないのかな〜。


 と言うことで、特に悪役の主要人物達の造形のうまさや、最後の方に出てくる犬愛に満ちた主人公の台詞やがあるから許すけど、買うほどではなかったなと思う。でも、この本を買った利益が作者を通じて不幸なわんこを救うシェルターの活動につぎ込まれているなら、まあ良いかとも思う。

 
 にしても、作中に不幸な繁殖犬の話とかが出ていて、こういうのを読むと、無理してでももう1匹どっかの団体から引き取ってやろうかという気になってしまうなあ…。

 
 そしたら、どうするジョジョちゃん!