「かわいい論」
借りてきた本の二冊目。
- 作者: 四方田犬彦
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/01/01
- メディア: 新書
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文章は読みやすいが、何となく不満が残る。
何でもかんでも「かわいい」と見なすその「かわいい」とはいかなるものなのかを様々な方向から論じているが、やや散漫。それだけ「かわいい」という言葉が様々な性格を持っているから、整然とは語れないのだと最初に述べているが、やはり一冊の本として見ると、不完全燃焼な感じがある。「かわいい」が複雑な様相を持つ概念としても、著者が考える「かわいい」の最も重要と思えるポイントに絞って話を組み立ててみて欲しかったと思える。その絞り込みようこそ、論者の腕の見せ所ではなかったのか。
著者は、自分の文章を元に、もっと他の人にも深く考えて欲しい、と述べて終わっているけれど、それは「かわいい」との取っ組み合いを放棄したようにも見えて、少し残念。
この本は2005年の本なので、まだ日本の「カワイイ」や「cool japan」が世界を席巻するかに見えた頃のものだ。実際、日本の「カワイイ」がその後どれだけ広がったのかはよくわからない。東京カワイイTVとかもあるけど、受け入れる人もいる一方で、キワモノでしかないとも感じられる。
てか、私にはあそこで紹介される「キラキラデ・デコ」だとか、「マニキュア」だとかには「カワイイ」を感じないんだな〜。年齢かな〜。
イモムシは「カワイイ」と思えるのに…orz。