ハイタカ
朝職場に着くと、玄関で上司が出迎えてくれて言った。
「おはよう、実はな2階のベランダで鳥が死んどんやけど、見に行ってくれるな?」
なんと朝からいい感じですねえ。もちろんでございますよ。テンションが上がるのを感じつつ早速荷物からデジカメを引っ張り出して、現場へ直行。「ハト大」という事から「ツグミかな〜?でも、キジバトだったらやだな〜。」とか考えつつ現場に着いてみると、まさしくベランダの外に鳥が。しかも大きい。しかもやたらに尾羽が長い、つか、この色合いと形はワシタカじゃね?
もう一気にテンションmax。心拍数も上がりまくりですよ。わくわくしながら、近づいて見ると綺麗な猛禽類。えと、この色合いはハイタカ?それともツミ?(←猛禽類はあんまりよく知らない。)どっちにしても、感動であります。こんな間近で猛禽類を見るなんて。ああ、感動〜!
どきどきしながら、そっと持ち上げて見ると、まだ体は温かい。多分明るくなってから死んで、まだそれほど時間がたってないんだろう。全体はグレー。胸には縞模様。嘴は、大きさの割には、思ったより小さいけれど、ぐっと曲がった形はいかにも猛禽だ。鮮やかな黄色い足には、長い爪が見える。まだ乾いていない綺麗な瞳は、左目に少し血がにじんでいた。また、くちばしの端からは、舌が出ていて、窓ガラスにぶつかった衝撃の強さが想像された。
鳥を持って立ち上がって周囲をよく見ると、窓ガラスの一カ所に羽毛が数枚ついた衝突痕があった。この辺では今ちょうど、ツグミが大挙してクスノキの実を食べている。スズメもヒヨドリもカワラヒワもわんさかいるから、そういう小鳥を狙って衝突したんだろう。
とにかく鳥を手に部屋に戻って、「ありがとうございます。綺麗な鳥でした。怪我の後もあるし、窓硝子に跡もついてます。衝突です。」と報告した。時節柄、万が一にでも鳥インフルエンザだったら困るので、保健所に報告するべきがどうか迷っていたらしい。もし、保健所に連絡してたら、持って行かれてしまうところだった。ああ、危ない。そして、ああ、うれしい。
そして、席に戻って、早速図鑑を開いた。図鑑を見れば、やはりハイタカ類。オオタカにしては小さいし、ツミにしては大きい。ざっと計測したらこんな感じだった。
・体重:255g
・全長:380mm
・翼長:255mm
・ふしょ:65mm
・嘴峰:13mm
・尾長:185mm
色合いは雌っぽそうだし、大きさからしてもたぶんハイタカの雌だろう。(間違いだったらごめんなさい)
ああ、ハイタカ、ハイタカ、ハイタカだあ〜。翼だけとかを拾ったことは何度かあるが、綺麗なハイタカは初めてだ。うれしい…感動だ。
こんないい状態の鳥は、しかもハイタカなんて滅多に入る物ではない。時間もあったので、早速処理にかかった。ラベルをつけて、乾燥防止にラップでぐるぐる巻きにして、更にビニール袋に入れて密封する。ビニールにもマジックで内容を記載して、そのまま冷凍庫に放り込んだ。このところ、処理を怠っているので、ぎゅう詰めの冷凍庫だけど、何とか入れて、とりあえずは終了。
ああ、ハイタカ。この職場でハイタカを拾うのは、2度目だ。以前は2006年の1月に拾ったのだけど、その時にはカラスに食われて尾羽と翼の一部しか手に入らなかった。今度は完品。ああ、うれしい。地道に生きてるけど、ほんとにたまにはいいこと有るんだなあ〜。
ということで、この(たぶん)ハイタカ。自分で剥製にするのはやはりもったいない。(あんまり上手くないから)。だいぶ冷凍庫も一杯だし、ここは一つ博物館かな〜。ああ、けど、連絡したら、いるって言ってくれるかな。そんなものいらないって言われたら…。
と新たなる悩みを抱えつつ、でもうれしい一日の始まりでありました。
真面目に生きていると、たまには良いことあるんだな…。