hyla’s blog

はてなふっかーつ!

それはアリか?

 
 最近の大学入試は、半分くらいは何らかの推薦入試で決まってしまう。で、そういう推薦入試では、得てして面接があって、「志望動機」「高校時代に頑張ったこと」「将来の夢」の3つは100%聞かれる内容と言って良い。
 
 で、それ以外では「最近読んだ本で印象に残った本」という質問も割とありふれたものだろう。

 
 で、この質問に今の自分だったらなんと答えるかというと、「天地明察」「虐殺器官」くらいかなと思う。これなら挙げても恥ずかしくない作品だし、小説としても面白いし、まだしも読まれている確率が比較的高いからわかってもらえやすいだろう。ただし、これは純粋に最近読んで面白かったと言う物であって、それが大学入試の面接であるならば、やはりこれは答えない。理学部あたりなら、ブルーバックスなんかの新書や、やや易しめの専門書を挙げるだろう。そこはそれ、話す相手に応じて、その場に応じて盛り上がれるネタを振るのが常識であろう。
 そもそも推薦入試なのだから、「その専門分野に興味を持っている」という設定なのだし、ならばその分野の本くらいは読んでいるという事になるだろう。それでいて、その分野の本を読んでないとか、そもそも本を全く読んでないとかはあり得ないはずだ。


 
 んが、たまたま知ってる高校生と話していて、「最近読んで印象に残った本と聞かれたら、何答えるんよ?」と聞いてみたら、なんと「山田悠介の「スピン」」と答えられてしまった。「スピン」でも、チャールズ・ウィルソンの「SPIN(時間封鎖)」じゃなくて、山田悠介




 山田悠介ですか〜?!



 ま、確かに本ではあるが、山田悠介は志望校である工学部の推薦入試において「最近読んで印象に残った本」としてアリなんだろうか?と考え込んでしまった。

 
 そもそも、専門系ではない。一般書のそれもホラー系の作品である。しかも山田悠介
 
 
 工学部ならば、比較的SF者は多かろう。で、私もそうなんだけど、そういうタイプにはおおむね山田悠介は評価が低いんじゃなかろうか?ぶっちゃけ、山田悠介が面白い、と言われたら本読みではないな、と考えてしまうのだ。設定のいい加減さとか、ご都合主義的な展開とか文章の荒さがどうしても目についてしまう。
 どうしてもお楽しみ系の一般書しか思いつかなかったとしても、ホラー的な作品が好きだったとしても、せめて貴志祐介あたりにして欲しい。工学部なら、あえてオタク系で攻める森博嗣というチョイスもある。日本の柔らかSF系で山本浩でもいいし、瀬名秀明でも良い。個人的には科学技術の発展に対する人々の感情のあり方って観点で管浩江あたりも良いと思う。
 もちろん、これらも基本的には推薦入試で挙げる本ではないけれど、本当に本が好きで読み込んでいる人が、愛を込めて語るなら私はありだと思う。

 

 
 が、いくら何でも山田悠介はなかろ?
 小説としてのできばえもだし、彼の作品からは自然科学に対するシンパシーというものがさっぱり感じられないのだ。




 けれどまあ、そういう自分も本についてはかなり偏った嗜好を持っているし、そもそもたかが「印象に残った本」の種類程度で合否が決まることはまずない。だから、これは本についてはついつい暑苦しく語ってしまいたくなる私だけの意見(偏見)かもしれない。
 
 

 つーことで、アドバイスを求められたので、いらんお節介かなと思いつつ「それより、新書を読んだ方がもっとええで。ブルーバックス中公新書あたりからなんか探して読んでみーまい。」と返答したら、「新書ってなんですか?」と聞かれた。


 ええっ?! まさか新書は新しい本だとか思ったりしてないよな。




 と思ったら、ホントに新書を知らなかった。
 

 ああ、科学立国日本はどこへ行ってしまうのか…。