「植物の生存戦略」
久々に、アマゾンでお買い物。そしたら別の本を買うときに、アマゾンにこれをオススメされてしまい、ついつい購入。
植物の生存戦略―「じっとしているという知恵」に学ぶ (朝日選書 821)
- 作者: 「植物の軸と情報」特定領域研究班
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2007/05/10
- メディア: 単行本
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で、多分こういう感じだろう、と想像したとおりで、できが良い。たくさんの研究者によって、それぞれの項目が説明されているが、それでも本全体のプランがしっかりしているので、まとまりがある。説明の仕方も最先端の遺伝子の動きなんて高度な内容なのに、かなりかみ砕かれたわかりやすい表現がされていて、高校生物が理解できていれば、問題なく読み進められるだろう。
個人的には、導管の形成過程の話が「へえ〜」だった。導管は死細胞で師管は生細胞というのは基本的な知識なのだけど、それがどのようにつくられていくのかは初めて知った。
また、同様に働く遺伝子が複数あって、一つのしくみが機能しなくても、別の遺伝子が補完することで、個体としてはきちんと機能できるようになっている、というのは当たり前だけど良くできている。現在の生物は、そうやって何重にもかけられたセイフティーネットがあるからこそ生き残ってきたのだろう。動かないからこそ、ダイナミックに変化する植物のありよう、それを研究する人達の姿が生き生きと描かれていると思う。
これを読んで、更に遺伝子とその発現というミクロの仕組みが、自然界で無機環境からの作用によって、他の生物同士の相互作用の中でどのように機能するのか、そうした話も知りたいと思った。
と言うことで、植物に興味ある人にはお勧め。
大学の推薦入試を受けようと思う学生さんにもお勧め。